僕には、ふたつ年の離れた姉がいました。
小さな頃から身体が弱く、入退院を繰り返していた姉は、中学を卒業すると
高校には行かず、家と病院を往復する生活を続けていました。
あれは僕が高二のころ、もう学校を辞めてしまいたいと思っていた時期に
自宅養生ということで姉が家に戻ってきました。
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「今日、つきあってよ」
ある日、両親が居ないのを良いことに、学校をサボってゴロゴロしていた
僕は、姉に連れ出されると買い物やら雑用に一日中、連れまわされました。
姉にとって、僕は弟であると同時にたった一人の親友でもあったのです。
色々と買い込んで、重そうにしている姉の荷物を持ってあげると
「さすが、男の子だねっ」
本当に嬉しそうに笑いながら、先に歩き出してしまった僕の背中をずっと
見つめていました。
それから、妙に盛り上がった僕たちは、映画を観たりしてからファミレス
で食事を済ませると家路に着きました。
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その日の夜、自室でくつろいでいた僕は、遅い時間になったのでもう寝て
しまおうと思い、ベットに入っていると姉が部屋に入ってきました。
「せっかく、家に居るのに一人で居たらもったいなくて。いいよね、ここで寝ても?」
「別にいいけど、風邪ひいてもしらないよ」
薄いブルーのキャミソールと、お揃いのショーツだけの姿に目のやり場を
困ってしまった僕は、照れ隠しにワザと無愛想に答えると姉に背中を向けて
寝たふりを決め込みました。
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それから、部屋の照明が落ちて、枕元に化粧水のほのかな香りが広がると、
姉がベットの中に入ってきました。
「姉さん、勘弁してよ・・・」
「あたしに床に寝ろって言うの?・・・いいから気にしないで、さっさと寝ちゃいな」
「だったら、パジャマくらい着てこいよっ」
姉弟とはいえ下着姿の女性にベットに潜り込まれて動揺を隠せなくなっていると、面白がって姉がからかってきました。
「そういえば、エッチな目してたんもねっ。おねーちゃんにムラムラしちゃったのかなぁっ」
いきなり確信を突かれて、おろおろする僕の姿にさらに調子にのった姉は、
腕を絡ませるようにして抱きついてきました。
「男の子だもんね、仕方がないよねっ」
Tシャツとショートパンツでいた僕の身体に姉の胸や太腿が触れるたびに
不覚にも下半身が反応してしまいました。
「離れろよっ、姉さん。」
それがバレないように必死になって抵抗していると、硬くなった部分が
姉の身体にあたってしまいました。
「最低っ・・・弟のくせに、変態じゃないの」
「そりゃないよっ、姉さん」
あまりにも理不尽な出来事に泣きそうなっていると、傍若無人な姉の責めは
さらにエスカレートしていきました。
「罰として、脱いでもらおうかしらっ」
「なんで、そうなるんだよぉッ」
こうなると、姉はもう止まりませんでした。有無をいわさずに僕のショート
パンツを引き摺り下ろすと、すでに大きく反り返っているモノを、初めて
手品を見た小さな女の子のように見つめていました。
「こんなになっちゃうんだ・・・ネェッ、触っても良い?
あたしのも触らせてあげるから」
その言葉に一瞬ドキッとなった僕は、ためらいながらも、少しだけという
ことで了承してしまいました。
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姉は、恐る恐る手を伸ばして指先でそっとふれると、僕の表情をみました。
そして、
「こうすると気持ち好いの?」
初めて触るとは思えない手つきで僕のモノをしごいてくれました。
「何でそんなこと知ってるんだよぉぉッ」
「病院はヒマだったの。それよりも、今度はあたしのも触ってみて」
そう言って僕の手を取ると自分の胸に当てました。
「痛っ・・・もっと優しくしなきゃだめ」
初めての感触に、思わず力を込めてしまった僕は、自分が思っていた以上に女の人の身体がデリケートなことを知りました。
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それから、産まれたままの姿になって、お互いの手と唇で一番きもちの好い
場所を探り合うと、まるで、それが当たり前のように長いキスをしました。
「キスしちゃった・・・」
恥ずかしそうに瞳を潤ませる表情に、姉のことが苦しいくらいに愛しくなった僕は、華奢な身体を抱きしめながら囁きました。
「姉さん・・・最後までシテも良いよね?」
「ダメツ、いい子だからヤメテ・・・その替わりに・・・ネッ」
恥ずかしいくらいに硬くなっている僕のモノをそっと握ると、柔らかい太腿の間に優しく挟んでくれました。
「どお、気持ちいい・・・?」
「温かくて、やわらかい・・・どうにか、なっちゃいそうだ」
抱き合って動いているうちに、姉の大切な部分から温かいものが溢れ出して
きて、僕のモノを濡らしていきました。
そして、物理的な刺激よりも、全身で感じる女の人の肌の心地よさに夢中に
なって腰を動かしました。
それから、頬を紅く染めて汗ばんでいる姉の表情を見ていると、込みあげてくる衝動を抑え切れなくなった僕は、そのまま、絶頂を迎えてしまいまた。
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終わった後、しばらく呆然としていると、隣で横になっている姉が指先に付
いたものを、不思議そうに眺めていました。
「同じようなのが出るんだ・・・」
「エッ、何が同じなのかな?」
「知らない、バカッ・・・」
拗ねたような顔をしている姉を見ていたら、思わず笑ってしまいました。
久しぶりに、心の底から笑えた気がしました。
和やかな空気に包まれると、姉は僕の顔をジット見つめていました。
とても、優しい目をしていました。
「今日はゴメンね、一日中、引張りまわしちゃって」
「良いんだよ。そのほうが、ずっと楽しかったから」
少し不機嫌そうに答える僕に、姉は小さな子供を諭す母親のように言いました。
「いろいろ、有るだろうけど。学校、辞めちゃ勿体無いよ・・・」
視線をそらしてはいましたが、僕の身体に付いている幾つかの痣を見ている
のがわかりました。
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「ねぇ、チョット腕かして・・・」
姉は、少し硬くなった空気をやわらげるように悪戯っぽく笑うと、僕の腕を
枕がわりにして、寄り添うように横になりました。
「しちゃった後は、こうするものなの」
そう言って、少し甘えるような声を出すと、僕の胸に顔をうずめてきまた。
こうして、身体をかさね合っていると、姉の胸の辺りに残っている傷痕が
わかりました。
胸の形が変わってしまうほどの大きな傷痕でした。
『大変な手術だったんだな・・・』
まだ、中学生だった姉が、こんなに大きな傷を身体に付けなければ為らなかった事を思うと、胸が締め付けられました。
それから、僕は姉の肩を抱きしめると、何のためらいもなく言いました。
「姉さん・・・・愛してる」
どうして、そんなことを言ったのか分かりませんでした。でも、その時の僕は、そう言わずには居られなかったのです。
「一度でいいから、男の人から言われてみたかったんだ・・・・そういうこと」
僕の胸に顔をうずめたまま、黙っていた姉は、少し震える声で呟くと。その
まま顔を上げませんでした。
少し、泣いているようにも見えました。
「でも、弟じゃねッ」
しばらくしてから、顔を上げた姉は、少し困ったような表情をすると、そう言って、嬉しそうに笑いました。
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それから、二人は恋人同士がするようにベットの中で身を寄せ合うと。沢山の事を話しました。
学校でのこと、病院でのこと、小さかった頃のこと。
そして、将来のこと。
ずいぶんと長い間、そうしていた気がしましたが、いつの間にか僕たちは眠っていました。
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朝、目を覚ますと部屋の中に姉の姿はもう有りませんでした。
それからも、姉は何もなかったように振る舞い、今までどおりに仲の言い姉弟として僕に接してくれました。
そして、あの夜から、一ヶ月も経っていないある日。
「チョッと行ってくるからね」
姉は、そう言って入院すると、二度と家には戻ってきませんでした。
良く晴れた、秋の日でした・・・
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今年の春に高校を無事に卒業した僕は、現在、専門学校に通っています。
視野が少し広がったせいか、『人間って、悪い奴ばかりじゃないよな』
そんな事を考えられるようになりました。
今年もまた、秋になりました。