つい先月のお話です。
地方の大学で一人暮らしをしている息子・佑真(22歳・4年生)の生活の視察の為に、久しぶりにその街の佑真の部屋を訪れた時のことです。
お昼を食べて街を歩いていると、どこか怪しげな雰囲気のある『街角ドインタビュー』みたいなものに捕まって足止めされ、いろんなことを質問されました。
マイクを持った男性から、「ママっこ男子の関係のお二人ですか?」と訊かれた私達は曖昧に答えたものですから、「もしかすると恋人同士ですか?」と男性はお世辞なのか、訊き直してきました。
間髪入れずに佑真は「はい」と明るく答えたものですから、「少し年の離れた方に見えますが、素敵な綺麗な彼女さんですね」と私を見て男性が言ったのでした。「ありがとうございます」と佑真が答えたなら話は弾んでしまいました。
男性「お聞きしてみたいのですが、どんなところで、どんなきっかけでお知り合いになられたのですか?」 佑真「彼女が働いているアルバイト先です」
男性「こんな綺麗な方を、口説いたのですね?」 佑真「結構、ガードが固かったのですが、食事に誘ったりして、時間をかけて粘り強く頑張った成果です」
男性「素晴らしい!・・彼女さんは、この青年に口説かれてしまったのですね?」 私「はあ・・まあ・・そうです」
男性「まさか・・怪しいご関係ではないですよね?」 佑真「違います」 私「違います」
男性「失礼ですが、それぞれにご年齢をお聞かせいただいても宜しいですか?」 佑真「僕は今、22歳の学生です。彼女は・・・46歳です」
男性「彼女さんは、実際の年齢よりはかなりお若く見えますよ。四十代の前半とか」 私「はあ・・ありがとうございます」 佑真「彼女は見えないところの肌も、すごくスベスベで艶があって綺麗なんですよ」
男性「ここで拝見が出来ないのは、実に残念・・・素敵なご関係ですね・・そんな彼女さんの肌もご存じだということは・・・キス以上のご関係だと察しますが・・」 佑真「はい・・ご想像の通りです」 私「・・・」
男性「彼女さんのお尻にホクロがあるとかも、ご存知ですね?」 佑真「ホクロ、ありますね・・知ってます・・胸元にも小さなホクロがあるんですよ」 私「・・・」
男性「彼女さんは、若いこの彼氏さんに満足していますか?」 私「はあ・・ええ・・まあ」
男性「彼氏さんは、彼女さんを満足させている自信がありますか?」 佑真「もちろん、あります」
男性「素晴らしいです・・・・そして、羨ましいです・・この先のご予定は?・・ご結婚とか」 佑真「まだそこまでは・・でも僕が社会人となって近い将来には真剣に考える時が来るでしょうね」
男性「立派なご意見です・・そんな気持ちを打ち明けられて、彼女さんはいかがですか?」 私「はあ・・そんな日を期待して、楽しみに待っています」
男性「今日は素晴らしいカップルにお会いできて、嬉しい限りです。末永く、お幸せに」
インタビューして来た二人の男性は、私達の前から去っていきました。
「どういうことなの?」と私は佑真に訊ねました。「そういうことだよ」「私達はカップルに思われたのね」「いいじゃない、それで」「悪いとは言っていないわよ」
何だかよくわからないけれど、そんな日がありました。