キャンパスライフもはじまり、東京の生活も順調でした。少しずつ部屋の家
具や家電製品も揃って来ました。特にテレビは無くてはならない必需品、私
にとっては観賞目的以外にも使い方があるからです。声を消す為・・がそれ
です。母の喘ぎ声を誤魔化すのが目的です。この前はその事もあり、思い切
り母のヨガリ声を聞く事が出来無かった。母が来る前に何とか購入しておき
たかったのです。
私のキャンパスライフに関しては余り興味が無いと思いますので割愛させて
頂きますが、丁度母がやって来た日は午前中のみの授業でした。
母が着く時間に駅に迎えに行く事にしました。階段を降りて来る母の姿を見
た時やっとこの日が来たという実感で溢れていました。
その思いは母も同じだとは思ったのですが、大勢の人の目が有る所ではおか
しな行動は出来るはずもありません。極々普通の対面になりました。
「久しぶり・・元気そうね・・学校の方はどんな感じ?」
母は余り大きくは無い旅行用バックとハンドバックを下げていました。
私は旅行用のバックの方を預かると
「期待が大きかったからあんなものかな・・? て言う感じかな?」
「勉強の方は付いていけそう?」
「その方は何とかね・・予定通り3日間?」
「ウン、余り長くはいれないかも知れない・・。」
母の声が少しばかりトーンが落ちました。
「そうか・・仕方ないね・・先が長いからね!」
私は母と2人だけが判るような意味合いを込めて言いました。
「怒んないでね・・モット・・何とかしたいんだけど・・」
「イイヨ・・無理しないで・・」
「優しいね・・***君。」
そんな話をしながら歩き出していました。母が私と腕を組み、寄り添う感じ
で駅前を過ぎていきました。
「逢いたかったよ・・すごく・・」
努めて冷静に横に並んで歩く母に語りかけたつもりです。
「ゴメンネ・・辛い思いさせちゃって・・でも、私も辛いんだよ。」
母の言葉は重々しい感じで胸に響いて来ました。
母と私は足を止めると、見つめ合いました。
母がたまらなく愛しく思えて来ました。私はその瞬間辺りを見回すと、近く
にある建物に気が付きました。市の建物で余り利用されていない総合会館と
言う施設でした。誰でも自由に入れる建物なので時々トイレを利用させても
らっていました。私は母の手を掴むと、その建物に入って行きました。
ハッキリ言って私は欲情していました。
「***、如何したの? ここは何なの・・?」
母が判らないでいるようでした。
私は歩きながら母に言いました。
「ここでしよう・・・我慢できない・・」
母が驚いた顔をしていました。
「此処でって・・・***、そんな・・・無理よ・・」
「大丈夫だって・・ここなら平気なんだよ・・こっち・・」
私は母をトイレに連れ込んだのです。昼間でも建物の中は閑散として、トイ
レも省エネ対策で電気も消してあります。利用する人もあまりいないのが実
情でした。案の定誰一人居ないトイレに入ると、母を個室の一つに押し込み
ました。
「***君・・ダメよ・・家に行ってからにしよう・・いくらなんで
も・・」
「待てないんだ・・喜美江が欲しい・・」
私はそう言いながら母の顔を見つめるのでした。