子供の頃に事情があって歳の離れた姉と一緒に寝てた。
深夜になると結構な頻度で姉が起きてモゾモゾしてた。
俺が起きたことに気づくと、姉は人差し指を唇に当てて、しーっ、という仕草をした。
そのまま、俺の目をじっと見る。
瞬きもしないで、じっと。
頬は紅潮していて、恥ずかしがっているような、何かを我慢しているような、なのに無理やり微笑んでいて、昼間の姉とは違う人みたいだった。
汗ばんでいて、髪が首筋に張り付いていた。
姉の吐く息が甘い匂いで、熱かった。
俺の目をじっと見つめたまま、しばらくすると姉はふーっと大きく息を吐いて、俺「まだ夜だよ。寝ようね」と目を閉じる。
あれは何だろうと気にはなっていたけど、誰かに言うこともなかった。
少しして、俺はかなり早いうちに童貞を捨てた。捨てたというか、捨てさせられた。その初めての時の相手の女の表情を見て、理解した。
姉は俺の顔を見ながら、ひとりでしていた。