僕の両親はネグレクト気味で家にはほとんど帰ってこなかった。
妹ができてから数年は、両親は妹の世話の為に家に居てくれた。
しかし、両親は生まれたばかりの子の可愛い側面しか見ておらず、その時小学生の僕は、家にいる時は常に妹の世話をさせられていた。
夜泣きの対応はとてもつらかったが、それに対して苛立つ両親に八つ当たりされるよりはましだった。
妹は慢性的に疲れ易い体質と持病で身体が悪く、小中と学校を休みがちで友達はほとんどいない。
妹が中学生の頃は、両親は再び家を空けがちになっていた。
高校を卒業してすぐに工場に勤め始めた僕は、出来るだけ妹の世話をし、妹もできる家事はしてくれていた。
妹が中学を卒業した時、彼女の希望で2日間有名テーマパークに連れて行き、2人で楽しく過ごしせた事は何より良い思い出だ。
両親に連れられてこんな楽しい場所に来た事は一度も無かったから、とても幸せだった。
思い返せばこれをきっかけに、彼女は僕をとても慕う様になった。
彼女は高校に上がってからも体調を崩しがちだった。
なんとか、一度も留年する事なく卒業できて本当に良かった。
卒業式は体調の都合で出席出来なかったが、先生方の計らいで、校長室に僕ともども呼ばれ、妹だけへの小さな卒業式を催してくれた。
和気藹々とし、和やかな雰囲気の中、なぜか僕だけは感謝と感動から泣いてしまい、皆から笑われたのも良い思い出でもある。
今、彼女は職業訓練校に通い、DTP? 広告とかのデザイン? の仕事の勉強をしているらしい。
仕事の斡旋もしてくれる所らしいし、僕の収入も安定してるので、生活は安心している。
相変わらず両親は稀にしか家に顔を出さないが。
──この様な暮らしをしてきたからか、妹は僕に依存に近い慕い方をする様になってしまった。
彼女が高校に上がる時に強く言って聞かせて、一緒にお風呂に入る事はもうなくなったが、彼女は僕と一緒にいたがる。 一緒の布団に入りたがる。
おそらく一般的な兄と妹との仲の良さとは違う気がする。
しかし、彼女の性格の良さや、僕を慕ってくれる様子、未だ残る儚い雰囲気に、距離をとるのも憚られる。
兄が言うのもおかしいかもしれないが、容姿もかなり良い。
少し前、妹が僕の布団に入って甘えてくる時があった。
こんなことは珍しくはないが、その時初めて、妹の望みを叶える形で唇を重ねてしまった。
そこからは簡単に、兄と妹との関係は崩れていった。
今も同じ布団で彼女は一糸纏わず眠っている。
身体を求め合う度に、僕だけは強い後悔に苛まれるが、幸せそうに眠る彼女のことを突き放すことなんて絶対に出来ない。
むしろ、背徳などと言う陳腐な表現で例えることに身を置く僕もいるのも事実だ。
彼女の僕への依存に対し、甘んじて受け入れている僕自身に罪を感じてしまってもいる。