君と出会ったのは、中学に入学してすぐだった。
同じクラスになったけど、違う小学校だったから初めて会ったはずな
のに、何故か前に会ったことがあるみたいな変な感じがしたんだ。
君と目が合ったら、お互い視線を逸らさず、どこで会ったのか思い出
そうとしてた。
でも思い出せなかったけど、君がとても大切な人と思い始めていた。
中2の夏休み直前、君が告白の手紙を僕にくれたんだ。
まさか両思いだったとは思ってなかったから、嬉しくて、手紙呼んだ
その足で、走って君を追いかけたのを覚えてる。
それからずっと一緒に居るようになった。
僕は母子家庭、君は父子家庭、お互い、貧しい家庭で一人っ子同士だ
と知って、ますます仲良くなったよね。
そうそう、交換日記もしたよね。
その日記の中で、初体験したいって書いて、中2の終わった春休み、
君の家で初めて抱き合って、キスしたんだ。
14歳同士の幼いセックス、初めて見体勢の裸、そして性器…
興奮より、緊張の方が大きかったね。
お互いの性器を観察、コンドームを被せて、君の中へ…
なかなか入らなくて、試行錯誤したっけなあ…
グリッて感じで入って、一つに繋がった嬉しさに君は微笑みながら泣
いてた。
春休み中、君の部屋や僕の部屋で、親が仕事でいないのをいいこと
に、ずいぶんセックスしたよね。
中3になって、学校が始まっても、親が帰ってくる前に、下だけ脱い
で、上は制服のまま、君はアンアン大喘ぎでしてたっけなあ。
セーラー服の匂い嗅ぎながら、セーラー服の襟にある中学のマークを
見つめながら腰振ったっけ。
中学生のセックスって、発情しまくりで動物的だったのを覚えてる
よ。
中学生のくせに、キス芝がら舌を絡めたりして、ああいうのって本能
なんだね。
一緒に受験勉強しながらセックスもして、僕は工業高校、君は商業高
校へ進んだ。
放課後会って、デートしたりセックスしたり、お小遣い貯めて、初め
てラブホに入ったのが高2の夏だったね。
忘れもしない、高3の夏休み、俺の部屋でセックスしてたら、仕事に
行ってるはずの母親が突然帰ってきて、素っ裸で真っ最中の姿を見ら
れたんだ。
両家、といっても母子気帝都父子家庭で一人っ子同士だから4人しか
いないけど、話し合いの場が修羅場だったよ。
僕の母親と君の父親、顔を合わせて青ざめてた。
僕の母親と君の父親、別れて18年の元夫婦だったんだ。
君の父親は僕の父親でもあって、君は、僕の母が妊娠中に父親が浮気
してできた子だった。
つまり、僕と君は腹違いの兄妹…
どこかであったような気がしたのも、大切な人と思ったのも、同じ血
が流れてたからだった。
僕らは、その日を最後に会うことを禁じられた。
男と女として愛し合った以上、兄妹に戻ることは無理と判断されたん
だ。
泣いた…涙枯れるまで泣いたよ…
あれからもう、20年の歳月が経つかな。
今でも時々、つい昨日の出来事のように思い出す。
運転免許証の裏に忍ばせてる、君の写真…
高校のセーラー服着て微笑んでる君、確かに僕と似てる面影を感じた
のは気のせいだったんだね。
でも、あんなにドキドキした恋愛は、あの後二度と無かったな。
僕にとって君は、最初で最後の本当の恋だったのかもしれない。
心から愛してた…
今は僕も違う女性と結婚して、二児の父、平凡だけど幸せだし、嫁さ
んを愛してるよ。
でも、まだ君のことは忘れられないし、忘れることはない。
先日、子供の小学校で23年ぶりに中学の同級生と会って、君が亡くな
ってたことを知ったよ。
自殺だった…
その理由を聞いて、たまらなかったよ。
君と父親、親子関係が成立してなかったんだってね…
僕の父親が母親の妊娠中に浮気してできた子が君だったけど、君の母
親は君と父親を置いて、君の本当の父親と逃げた。
他人の子を育てた君と僕の父親は、君が大人になったら手籠めにする
ことを夢見て育てていた。
それを中学の時に僕が、それも自分の実の息子に先食いされたわけ
で、別れさせられた後、君がどんな仕打ちにあったかは想像に容易
い。
性的にかなり虐げられたんだろうね。
僕と愛し合った愛のあるセックスじゃなくて、恥辱にまみれた行為
を、女子高生が父から受ける…君が自ら命を絶っていたなんて、知ら
なかったよ。
それに僕たち、兄妹じゃなかったってことだもんね。
別れる必要なかったってことだもんね。
今年が君の十七回忌だったんだね…
お腹に、父親の子を宿して死を選んだ君…
僕の母親は、君の死とその真相を知ってたよ。
でも、僕に言わずに胸に秘めてたそうだ。
僕には、愛する家族がいる。
だから、君のお墓にはいかないよ。
その代わり、君の分まで幸せになるよ。
さよなら…