「性格は顔に出る」
子供の頃から私は、大人達に
「性格がキツそうだ」
と言われていた。
幼稚園や小学校に入学しても、顔のせいで、リーダーに担がれてしまい、先生にも目をつけられていた。
そのせいで、私は男子から距離を置かれ、周りは女子ばかりになり、バレンタインにチョコを貰うようになった。
ホワイトデーには、女子にお返しを配り、異性では弟や父にしかプレゼントを贈らなくなった。
中学に入ると、私に「レズ疑惑」の噂が流れ、仲の良かった友達や担任と、「愛し合ってる」なんて話まで出ていた。
くだらない噂を流す男子は嫌いだけど、女好きと言う訳でもなく、もて余した「恋心」は唯一信頼できる家族に向けられた。
うちに遊びに来るのは、同い年の女子か、弟の友達の男子ばかり。
そんな自分を変えたくて、芸能人になろうと、オーディションに応募したりもした。
書類審査がパスしたオーディションで、二次選考で水着審査があると知って、家族に反対され、私は夢を諦めた。
今にして思えば、中学生を水着で審査する大人の感覚も理解できて、辞退して良かったと思った。
高1の時、学校を出ようとした時に、あの大地震が起きた。
いつまでも収まらない揺れに、恐怖を感じ、家族が被災してないかと、心配になった。
あの夜は、父も自宅に戻れず、母親と3人でテレビを見ながら、大きな余震に怯えて眠れなかった。
トラウマになった緊急地震速報のチャイムを聞くたび、動揺する母と弟を励ましていた。
大事な高校受験を控えていた弟は、ストレスから勉強が手につかず、私が部屋に行ったり、部屋に呼んで、勉強を教えるようになった。
休憩時間には、ベッドに横たわる弟にマッサージしてあげたり、私が眠くなると、ベッドで寝ている隣で、弟が勉強をしながら、私を見守っていた。
必死に「強い娘」「強い姉」を演じて、家族の絆を紡いでいた私の中に、もう一人の「悪い自分」が覚醒した。
「一緒に寝よう」
とベッドに弟を誘った。
(何もしないから)
と思いながら、疲れて眠った弟を抱いてる私の中で、性欲が溢れて行った。
「優しい姉」を演じている癖に、弟に邪な感情を抱いてしまう自分に嫌悪した。
いけない妄想は、寝ている夢の中でも広がり、朝になるとパジャマにまでシミが出来ていた。
家族の起きる前にシャワーを浴びながら、悪い自分の汚れを流そうとしたけど、流しても流しても、汚れは身体の奥から溢れて行った。