父は早くに他界し、母も亡くなって早7年。私も現在25歳。高校卒業
すぐのことで進学を断念し、地元に就職、中学生だった弟の司もやっと1
8歳。弟の野ために懸命に働きやっと卒業までこぎつけました。
「お姉ちゃん、ただいま」「お帰りなさい」
今日は弟が初めて出勤した日でした。その立派な背広姿に思わず涙がこ
ぼれそうになったのでした。
「何、泣いてんだよッたく!」 「泣いてないよ」
私は鼻声で目を赤くして答えました。
お仏前に報告した後、私達は鍋をはさんで、乾杯をしました。
あまりに嬉しくて私はワインのボトルを2本とも空けてしまって、本当に
ロレツが回らないくらい酔っていました。
弟もかなり酔っていて、「お姉ちゃん、ありがとね!」を繰り返してい
ました。
気づけば弟と並んで飲んでいました。アルコールのせい?!弟の横顔見
て、【男】を意識してしまいました。
「ねぇ、司、彼女とかいんの?」 つい尋ねちゃった私。
「えっ、何でそんなこときくの?」 弟がさらに赤くなりました。
「いないよ。お姉ちゃんはどうなん?」 私まで赤くなりました。
「お姉ちゃんも実はいないんだ~」
すると突然、弟は真顔になると、真剣なまなざしで言いました。
「ずっと、ずっと…おねえちゃんが好きだったんだ、今も」
私は弟の告白を聞いて酔いも吹っ飛んでしまいました。でもとても嬉し
かった。(ワタシモスキ!!)
でもそのときは素直に返事できなかったんです。
「私は、本当のお姉ちゃんなんだよ~」 嬉しかったけど悲しかった。
すると弟は言ったの。
「俺の初恋はお姉ちゃんだよ」って。
胸がキュンとなってフリーズしちゃった私。
だんだん弟の顔が近くなって、自然と唇が重なったの。そのときから二
人は姉と弟から恋人同士になっていったと思う。
その後は私たち姉弟も、普通の恋人がするように、自然に結ばれていき
ました。弟(男性)を生まれて初めて受け入れたとき、その痛みとともに
ヴァージンと決別しました。その瞬間、欄間に飾ってあった両親の遺影が
視野に飛び込み、私は痛みと嬉しさと悲しみが同時に起こり、自分でもわ
からない感じで涙がこぼれていました。遺影はボケてかすんで見えまし
た。