定年間際のこの歳になって、やっと二人の関係を「どうでもいいや」と
許してもいい気持になってきました。
私の両親は再婚同士で、親父は農業と小さな店をやっていて、前妻は店
の番頭と駆け落ちして離婚したようです。その後、私の母と再婚しまし
た。母には当時小学生の連れ子の女の子がいました。私はその後しばらく
して二人の間に生まれた長男です。
母は、結核で体が弱く、近所からは「顔ではなく、もう少し働ける女とど
うして結婚しなかっのかな」との風評がありました。母は、自分でもいう
のも何ですが、きれいな母でしたが、私が小学3年の時の42歳で他界しま
した。
姉は当時22歳で、お親父が母より2歳年下だったので40歳だったと思い
ます。母の葬式の時、姉と親父の関係は今後どうなっていくのか心配でし
た。母が入院ばかりしていましたので、家事や店の仕事は殆ど姉がやって
いました。姉も母に似て近所でも評判の看板娘になっていました。姉は、
人がいいというか、軽いというか、男たちからよく誘われていました。夜
遅く帰ってくると、親父からよく叱られていました。
私が幼いながらも、二人がおかしいと思い始めたのは、親父は風呂に私
と入る時間より姉と入っている時間がとても長く感じていました。また、
時々ですが、父が姉の部屋から起きてきたり、反対に姉が親父の部屋から
出てきたり、姉の部屋に入ったとき、鼻を突くような変な臭いがしてチリ
紙が散乱していました。大きくなって、あれは親父の精子の臭いだとわか
りました。
母がまだ病院にいる時、姉に「お母ちゃは入院ばかりして、親父はどん
な気持ちだろうね。」と聞いたことがあります。姉は「心配しなくてもい
いわよ。私が、全部お母さんの代わりをしているから、お父ちゃんは喜ん
でいるわよ。お父ちゃんが、私たちと結婚してくれて、幸せな生活を送れ
ることに感謝しているの。お父ちゃんには絶対に文句言わせないわ、
ウ暖。」と笑ったのを覚えています。
私が中学の夏休みの時、友達ところに一泊するとウソいって、家の押し
入れにトイレもできるようにして隠れていました。夕方になって、姉が店
を閉め始めました。やがて親父が帰ってきました。私は、心臓がドキドキ
としていました。
やがて二人の会話で、はっきりわかりました。「文子(仮称です)帰っ
たよ。」「お帰り、お食事にする?お風呂?」「今夜は久しぶりに堂々と
できるわね。あなた嬉しいでしょう?」と言いながらキスをしているよう
でした。二人が風呂に入っている時間に、茶の間と2階のベットが見える
よう工夫していた部屋のどちらに待つか考えましたが、最初は茶の間だろ
うと思い。急きょ、襖に小さな穴をあけて見えるようにしました。
二人は、風呂から上がると裸のままでビールを飲み始めました。親父が
姉に口移しでビールを飲ませていました。テレビの野球中継の音で二人の
小さな会話が聞き取れませんでしたが、やがて、姉が親父の下半身を舐め
始めました。二人はそんなこと慣れているようでした。それから、親父が
横になってシックスナインを長い時間していました。当時の少年期の私と
してはとてもショックでした。大人の世界のこれでもか、これでもかとい
うような風景でした。私は、ドキドキから足がガクガク震えていました
し、喉がめちゃくちゃ乾いていました。
応援している球団が負けてので、親父の癖でテレビを消しましたので、
二人の会話がはっきりと聞こえてきました。主な内容は、「文子もそろそ
ろ結婚しないと、結婚相手は私がさがす。」「お父ちゃん、商売人はいや
だよ。この家は弟が継ぐから、私はお父ちゃんの近所に住みたい。」と姉
が言うと、親父はまた、姉を激しく抱き始めました。
姉は、抱かれながら、「お父ちゃん、この家を早く弟に渡して、二人で
遠くに行って幸せになりたい。あなたを、一人の男として心から愛してる
わ。私は、あなたの女としてずっと傍にいたいの。ほかの男との結婚は考
えられないの。」と泣きながら抱かれていました。
やがて二人は、二階に行きましたが、すべてわかりましたので私は二階
へは行きませんでした。そっと裏玄関から外に出ていきました。その日
は、泣きながらゲームセンターや公園で夜を明かしました。
それからというもの、私は親父と姉に激しい嫌悪感で一杯になり、食事を
している時、姉と目が合ったとき、食べ物を全部吐いたりしていました。
姉が「どうしたの」と言いながら背中を触ってきましたので、「触る
な!」と怒鳴ってしまいました。
それから、私は猛勉強して寮がある高校に進学して、大学も下宿して卒
業し、人からは一定の評価をいただいているところに就職し、その後、実
家には殆ど帰っていません。
これらのことが原因と思われますが、私はいくつか恋愛しましたが結婚
まではいきませんでした。姉を通して、女性に決定的な不信感がありま
す。女性と寝た後、この人もいつか私を裏切るのではないかと頭が痛くな
るのです。
最近、親せきから実家に関する情報がありました。行きたくなかったの
ですが葬儀ぐらいは参列しないといけないと思い、二人の事を許すとまで
は言いませんが、「この際、もうどうでもいいや」と思うようになりまし
た。親父は、義理とはいえ娘と夫婦以上の関係をしていたことに対して、
母に何と説明するのでしょうか。