下の子供が中学生になったのを機にパートに出ることにしました。
経済的に切羽詰まった状況というよりは、自分の狭い世界を窮屈に感じていたからです。
短大を出てわりとすんなり結婚出産してしまいろくに手に職もないので、無難にスーパーに勤めることにしました。
パートさんだと四十代が主流で、まだ四十前の私は多少若い部類でした。
そこで高校生のバイトくんと親しくなり、まさかまさかの肉体関係になるなんて…
やはり、人間は出逢いです。
家に閉じ籠っていた今までが勿体なく思った次第です。
たまたま祝日に昼を跨いで勤務した時に、休憩室で昼休憩を取ってた時に彼と二人きりになった。
それまでも顔を合わせれば挨拶などはしていたけど、手持ち無沙汰を紛らせるために始めた会話が心地よく、私はいつしか話しに夢中になってました。
家では子供達にもうざったがられてろくな会話もできなかったりするけど、彼は全然そんなことなくて一気に好感度爆上がりになりました。
その時に家で作ってきたおにぎりをあげたら、ビックリするほど絶賛してくれて、美味しい美味しいと喜んで食べてくれた。
私が作るよりお金もらってコンビニのおにぎりを買いたがる我が家の子供達とはえらい差でした。
けして目立つタイプの子じゃないけど、大人への配慮もできるし凄い感心しました。
それを境に距離が縮まり、顔を合わせると二言三言話すようになりました。
他のパートさん達にも評判がよく、中には一緒に食事に行ったりしたこともある人もいた。
あの子ならそりゃ可愛がられるのも分かる半面、
私はそういう話を聞くと羨ましいなあとすら思うようになっていた。
そんな彼と週に一回二回は会って密会するようになるとは思わなかった。
信じられないけど、彼の方が私に対して積極的だった。
もちろんそうしやすいように振る舞ったりはしたけど。
私はスーパーの近くのスーパー銭湯にたまに寄る話をしたら、彼はクロスバイクで近場の温泉まで遠征するという話しになった。
車でも一時間しない場所に温泉宿が密集してる地域ぐあって、サイクリングがてら温泉に浸かるのがマイブームなんだとか。
タオル付きで千円しないらしい。
平日の午後なんかほとんど貸切状態だというから、労力を惜しまなければそれなりに贅沢気分が味わえて良さそうだった。
私は深い意味はなく今度言ってみようかなと言い、いつもはどのくらいの時間帯に行くのか細かく尋ねたら、トントン拍子に一緒に行けることになった。
幸い私は車の免許を持っていたから、不都合は何もなかった。
割り増し料金を払うと家族風呂に入れて、しかも半露天風呂だったから、どうせならそっちにしようかと提案したら、彼も乗り気な様子だったから安心した。大浴場なども当然入ってもオーケーだった。
その日は日曜日の三時くらいだった。
団体客が引いた後でわりと大きな民宿は閑散としていた。
通いのパートで来てる中居さんが食事付きなら1部屋自由に使えてお得だと言うから、じゃあ夕飯を食べて帰ろうかとなった。
中居さんに部屋に案内されると、彼は日頃ご馳走になってるから今日は奢りますと言う。
バイト料が入ったばかりだからと言っていたけど、それは気持ちだけ頂くことにした。
時々缶コーヒーとか飴とかあげたりしてるだけでそんな感謝してくれるなんて。
彼の気持ちだけで嬉しかった。
まるで絵に描いたように自分には嬉しい展開になっていき、自然と気分もハイになってくる。