単身赴任中で一時帰国していた夫を空港で見送った夜の事です。
私は家に戻る為、とある私鉄の特急に乗りました。
時間は22時を過ぎていて、乗客はまばらで、私も他の人たちと同じように2人用の席に一人ゆっくり座ることができました。
発車して間もなく眠気がし、俯いて目を瞑っていました。
すると、前の方から通路を歩いてきた人が私の横に座ったんです。
他の席も空いてるのに…と思いながらも、そのまま眠ったフリをしていました。
案の定です。その人はごそごそ、もぞもぞしたかと思うと、私に触れてきました。
初めは眠りの深さを確認するかのような触り方でしたが、私がなにも反応しないでいると徐々に大胆になってきました。
私はさすがに不味いと思ったので、目を開け顔をその人に向けて制止しようとしました。
びっくりです。部活帰りの学校のジャージを着た高校生だったんです。
視界を遮ってるのでしょうか。膝の上に大きなスポーツバッグを置いていました。
私は呆気にとられて、その子を見ました。
その子は全然怖気づいていないように私に密着したまま、もっと手を身体に触れてきました。
なんでこんな子が痴漢するのか…頭が混乱して私はそれから何も出来ませんでした。
約30分の間、その子は私に甘えるように、凭れかけ身体を撫でていました。
降りるからごめんね…
私はそんな言葉をその子にかけてしまったような気がします。
うん…
その子はそう言いました。
誰にも言ってない忘れられない出来事でした。