電車は私の妄想の「タネ」が詰まっています。
それぞれが違う目的で行動していた人々が、
偶然その電車に乗り込み、一定の時間と空間を共有する。
これから出かける人、帰る人、楽しんでる人、辛い思いをしている人。
人間観察といえば聞こえはいいのですが、
そこに、ある刺激物が飛び込んでくると、
「観察」から「妄想」へと変貌します。
その日は親子連れが多く見受けられました。
おそらく高校受験を控えての三者面談か何かの日だったのだと思います。
一組のお母様と息子さんが私の横に腰掛けて来ました。
私は少しだけ腰を浮かして席を詰めました。
といっても1cmも動いてなかったと思いますが、まあ儀礼的なものですね。
幸運な事に、息子さんが私の隣に腰掛けてくれました。
私は逆にすり寄っていきたい気持ちでした。
男の子は特に中学生ともなると、
母親と一緒に出かけたり、会話をしたりというのは、
照れや反抗期もあって少なくなると聞いていましたが、
その親子はそういったものを感じない雰囲気でした。
受験という共通の目的があるからかもしれません。
品の良さそうなお母様と、いかにも育ちの良さそうな息子さん。
裕福な家庭で「一人息子で大切な宝物なんだろうな」と勝手に想像。
もし、この大切な宝物を目の前で傷つけたり汚されたりしたら。
私は鞄を盾にして、他の乗客から見られないように彼の太腿に手を添えて反応を確かめます。
ビックリして私の顔を見ますが、そしらぬ顔で撫で続けます。
どう対処していいかわからない彼。
母親に助けを求めるなんて恥ずかしくてできません。
私は手をゆっくり移動させ、脚の付け根の膨らみを包みます。
俯いて顔を赤らめ硬直している少年。
母親のすぐ横で見知らぬ中年女に股間を触られている少年。
こんな状況でも私の刺激にはしっかりと反応しています。
ファスナーの金具を探り当て、手を潜り込ませ、
さらにもう一枚の布の中に私の手が侵入してくると、
さすがに彼は慌てて母親に気づかれまいと、
コートの裾で私の手が見えないように覆い隠します。
まさか愛する息子が、隣にいる自分と同じくらいの中年女に、
ズボンに手を突っ込まれ、性器を弄くり回されているなんて思ってもいないでしょう。
もし私が母親ならば、どこか知らないところで、
知らない中年女に息子が悪戯されているなんて知ったら発狂してしまうかもしれません。
と身勝手な事を考えていました。
母親ですら中学になった息子のモノなんて、見た事もないと思います。
「私があなたの変わりに息子さんの成長を調べてあげる」
尿道口を指の腹で弄りながら上下に擦ります。
少年は母親に気づかれまいと、一生懸命耐えている表情が可愛い。
母親が少年に何か話しかけてきました。
私は一瞬手を止めましたが、少年は相づちを打ちながら母親との会話になんとか対応しています。
さすが躾の行き届いた家庭で育った子は違う。
私は感心しながら上下運動を再会します。
「うっ、うん」
少年の変則的な相づちに、母親は少し顔をしかめましたが、
私の行動には気づいていません。
その瞬間、私の手には暖かい液体が。
私はズボンやコートを汚さないように、その液体を握りしめるように手を抜きました。
少年は自分でファスナーを気づかれないように元に戻し、
突然訪れた緊張感から解放されて、安堵したような表情をしています。
親子は想像したとおり、裕福な人たちが住むイメージのある駅で降りていきました。
私の妄想三者面談もそこで終わりました。