私の年齢は六十二才です。
夫とは五年前に死別していて、今は一人暮らしで、ゴ
ルフ場の清掃員として働きに出ています。
三十六才の息子が一人いますが、婿養子として遠方に
行っていて、年に一二度帰ってくるくらいです。
今からここで、この年で恥ずかしい告白をしなければ
ならないのですが、これはある男からの強制によるもの
です!
男といっても私の息子よりもまだずっと若い十九才の
少年からの強制的な命令です。
ここに私が投稿したら、少年の彼が後でそれを確認す
ることになっているのです!
その少年の名前は中川孝之(仮名)といって、私と同じ
職場でプロゴルファーを目指しながら働いています。
彼は一年前に高校を卒業してこのゴルフ場へ就職した
のです。
高校時代からゴルフ部に所属していて、背も高く体格
もがっしりとしていて、将来もそれなりに嘱望されてい
たようですが、半年ほど過ぎた頃に、ゴルフの技術の限
界というかスランプに陥り、仕事も休みがちになってい
たのを、たまたま私が気軽に励ましの言葉をかけたのが
きっかけで仲良くなり、それから職場での休憩時に一緒
にお茶を飲んだりするようになったのが交際のきっかけ
でした。
六十二才という年齢の私にすれば、息子以下の年代の
少年に何の屈託もなく接していたのですが、彼は母親と
早くに死に別れていたせいもあって、私を最初の頃は母
親のような気がするといって、まるで本当の子供のよう
に懐いてくれたのです。
その内職場の外でも食事に行ったりするようになり、
交際しだして三ヶ月くらい過ぎた頃に、私の家に夕食の
招待をすることになったのでした。
季節が夏から秋に変わる頃で、生憎その日は雨でまだ
蒸し暑い夕刻でした。
夫が残してくれた一軒家に身内以外の男の人を招き入
れるのは初めてのことで、私自身もほんの少しだけ胸が
ざわつくような感じはありましたが、四十幾つも年齢が
離れていることもあって、それこそ孝之の母親のような
気分になって手料理にも思いを込めて作り、彼はどの料
理もおいしそうに食べてくれました。
居間の座卓で向かい合いながら食後のコーヒーを一緒
に飲んでいる時、孝之が
「俺、今日風呂入ってないから、臭くなかった?」
と日焼けした太い腕のあたりを嗅ぎながらいったので、
私は彼に母親の目で、お風呂入って行けば?と薦めまし
た。
そしてその彼の母親代わりとしての善意の行為が、大
きな間違いの元なのでした…。
つづく