夕食を終え、夫は酒を飲み始め、私は息子と一緒に風呂に向かったのです。
脱衣場で息子の服を脱がせ、私も脱ぎ始めたときでした。
突然、脱衣場のドアが開き、お義父さんが入って来たんです。
「お義父さん、どうしたんですか?」
「風呂に入ろうかと思ってなぁ」
「私、入るって言いましたよね?」
「そうだったかなぁ」
悪びれたようすもなく、明らかにようすが変だったんです。
お義父さんが服を脱ぎ始めてしまったので、渋々服を着てお義父さんに先に入ってもらうことにしました。
「ちょっとあなた!お義父さんヤバくない」
「何かあったか?」
私はお風呂のことを夫に話したのですが、夫は「年だからなぁ」と本気にしてくれません。
やがて夫は2階の部屋で、私と息子は1階の客間に布団を敷き寝ることにしました。
(夫は酒を飲むとイビキが激しくいつも別室で寝ています)
息子も眠りに就き、私もウトウトとしたときです。
襖の戸が開き、お義父さんが部屋に入って来たんです。
「お義父さん!どうしました?」
「母さん!1人じゃ淋しいだろう!一緒に寝ようか?」
「お義父さん、何言ってるんですか?早苗ですよ。」
寝ぼけているのか、お義父さんは私の手を払い布団の中に入って来たんです。
「お義父さん!困ります。息子が起きちゃうわ。」
「母さん!ほら横になって、おっぱい触らないと寝れん。」
胸を鷲掴みされ、思わず怒鳴ってしまいました。
息子が驚いて泣き出すと、お義父さんも正気に戻ったのか?
「早苗、俺は何でここに居るんじゃ。すまなかったなぁ。」
そう言って頭を下げながら部屋を出て行ったんです。
翌朝、夫に相談すると、「今度、病院に連れて行ってみるよ」と言ってくれました。
1ヶ月程が過ぎ、夫がお義父さんを病院へ連れて行くと初期の痴呆症と診断されました。
まだ症状は軽度で、すぐに生活に支障が生じる事ではないという事で、少し安心しました。
お義父さんが痴呆症と診断されて数ヶ月後、老人会で転んで怪我をしたと連絡が入ったんです。
病院に行ってみると転倒した際に手をつき、腕の骨にひびが入った様で、ギブスで固定されていました。
お義父さんは腕を動かす事が出来ず、着替えから食事まで全て1人では出来なかったのです。