もう20年前のはなし。
大学1年の夏休みに俺は免許を取った。その年明けの正月2日、毎年恒例で本家のウチに父の兄弟家族が集まる。
父の兄弟が歳が近いことも有り、それぞれの子供達も歳が近かった。父の兄の長女が俺と同じ歳だったが高卒で稼業を継いだ俺の父とは異なり、幼少期から優秀だった父の兄は大学に進学、大手家電メーカーの役職を勤めていて、都内の一等地住まいで下町の酒屋のうちとは暮らし向きが大きく異なっていた。
父の兄の長女、同級生の奈々子に俺はコンプレックスを持っていた。
地元の公立小学校、中学校、高校に通った俺に対して、奈々子は小学校から都内の私立お嬢さん学校に通い、三流大学にやっと引っかかった俺に対して一流大学に進み親戚の集まり、特に正月などは酔った叔父達に酒のつまみに比較され、揶揄われる事が何より億劫だった。
その年も何かと理由をつけ、親戚の集まる時間には家を出ていようとした俺だが、例年行事のようにその日の朝から、母にま