うちの場合は、なんの予兆もなく唐突に始まった。
夫のいない晩に、いきなり布団の中に潜り込んできた。
背中から抱えられて、最初は寝ぼけているのかと思った。
手のひらがお腹の辺りから胸を探るように動き出して脚が震えた。
もう23歳にもなっていたから、冗談では済まなかった。
それでもまだ信じられなくて、やんわりと逃げながら拒絶し続けた。
手で払いながら、ふざけないでと何度も言い聞かせた。
いよいよ下着の中に手を入れようとしてきたので本気で怒った。
返ってきたのは容赦のない平手打ちだった。
馬乗りになってきたあの子は、まるで躊躇うこともなく私の頬を何度も打った。
それであの子が本気なのを知った。
怖すぎると声なんか出なくなる。叫ぶこともできなくてあっという間に裸にされた。
泣きながら、やめてと繰り返すしかできなかった。
あそこにあの子が顔を埋めてきたときには、もう半分くらいはあきらめていた。
ただ怖くて、大きくなったあの子のものが入ってきたときには、泣きながらあの子にしがみついていた。
痛いくらいにきつく抱きしめられて躊躇うことなくあの子は私の中に出した。
すべてが終わったような気になった。でも、あの子は終わらなかった。
一晩中抱かれ続けて、明け方近くになった頃には自分からお尻を差し出していた。
お尻をピシャピシャ叩かれながら、わけがわからない気持ちよさに私は声を上げ続けた。
私のお尻を掴みながら、もう、お前は俺のものだからなと、あの子はいった。
あきらめの気持ちが強かった。私の中で激しく動き続けるあの子のものが惜しくて、私は、うんと頷いていた。
あの子の大きくなったものには、私をあっさりと観念させるだけのたくましさがあった。
何度もあの子は、私の中に出した。ようやく落ち着いたのは、夜が明けて白々と光が差し始めた頃。
あの子の胸に抱かれながら眠りについた。
どうして、と訊いたけれど、あの子は応えてはくれなかった。
起きたら、またするからな、とだけいわれて、私はあの子の胸に顔を埋めたまま、また頷いた。
それからは、夫の目を盗みながら、あの子に抱かれ続けている。
あの子は、自分の言いなりになる女性が欲しかっただけなのかもしれない。
職場は男性だらけで、女の子と知り合う機会もなさそうだった。
毎日外で遊べるほどのお給料をもらっているわけでもない。
自分の自由にできる女性が欲しかったから私を選んだ。
手近で手っ取り早かったのが私だった。たぶんそうだ。
でも、その方が私も気が楽になる。
気の毒な息子の相手をしてあげているのだと思えば、多少なりとも罪悪感は薄れる。
あの子は王様になるのが好きらしい。いつも私を虐めることに一生懸命だ。
足の指を舐めてあげないと、あの子は気が済まない。そうして私を足蹴にすることで、気が晴れるのだろう。
熱心に舐めてあげると頭を撫でてくれる。嫌がったり拒んだりすれば容赦なく打たれる。
打たれるとあきらめることができる。あきらめて、心底あの子を気持ちよくしてあげなげればならないという気持ちになる。
これは理屈じゃなくて、本心からそう思える。
私をうまく扱えるのは、たぶんお父さんよりもあの子の方だ。
あの子に抱かれていると気持ちよすぎて、だから、私はいつまでもあの子から逃げられない。