常識的に考えれば異常なことでも幾度となく繰り返されれば、それはありきたりな日常となり罪悪感も消える。
近親相姦とは、おそらくその程度のことだし、気心も知れている相手だから妙な気兼ねをする必要もなく、思いつくままに変態的なセックスを要求することもあるし、いったん受け入れてしまえばのめり込んでもいく。
三十路近くになってもまだ結婚もしないで、家と職場とを往復するだけでありあまるほどの体力を持った息子の相手をするのは、さすがにしんどくなってきたと、となりで剥き出しの肩を見せつけながら俺の吹かしていたタバコを取り上げたお袋は、それを軽く吸い込むと白い歯を見せながら笑う。
もう、こんなことやめなくちゃね、と事が終わるごとに口にしたりするが、その唇には赤いルージュが塗られ、眉毛もきれいに描いて瞼にはアイラインまで引いている。
俺と一緒に寝るようになってからは、就寝前にも化粧をするようになり下着も派手なものに変わった。
縄を見せれば素直に両手を後ろに回し、多少きつく締めあげたところで観念したように目を閉じているだけで文句も言わない。
はじめる前は、痛くしちゃいやよ、と拗ねたように唇をとがらせるくせに尻を叩きはじめると狂ったように悶えて、もっと叩いてと叫びながらねだる。
息子の道具として使われることに脳を灼くのか、はたまた元もとそういった性癖の持ち主であったのかはわからないが、ともかく拗ねるくせになんでもやらせてくれるお袋が俺には可愛らしくて仕方ないし、これ以上いい女はいないと思わせる。
目尻のあたりに小じわは目立つがまだ老いた顔にはなっていないし、痩せて小柄なくせにまだ若いのよと言いたげにたわわに膨らんだ胸としがみつきたくなるほどやわらかくて大きな尻が俺をお袋から離さない。
半年前に浮気した親父と喧嘩別れし、一人暮らしをしていた俺のマンションに転がり込んできた。
一緒に寝起きをして3ヶ月ほどは普通の親子として暮らしていたが、なによりこっちはまだ若くて性欲だけは人並み以上にあるほうだった。
親子だから息子の目なんか気にするわけもなく、寝る前などはスリップだけの下着姿でうろちょろされ、まださほど崩れてもいない姿態を見せつけられて、その魅力に気づいてからは妄想を止める術もなく、あっという間に関係を持った。
お袋が言うには、男の考えることなんて目を見ればわかってしまうものらしい。
俺が一緒に風呂に入るかと誘ったときは、俺の考えていたことなどすっかりお見通しで、自分でも半ば覚悟を決めていたらしく、それはそれは風呂の中で念入りに俺の体を洗ってくれたものだ。
俺の前に膝をついて、泡にまみれた両手でじっとりとペニスを洗いながら、それまでには見たこともないような女の目つきで俺を見上げ、意を決して肩を掴んで膝を跨がせると、母さんにこんなことして悪い子ね、と幼子を窘めるように笑うだけで、お袋はたいして狼狽える素振りも見せず、自分で掴みながら尻を落としてきた。
ぬるりと濡れた粘膜にペニスが包まれ、こんなにお袋の膣が温かくてやわらかいものだと知ったときは、この女が俺の母親であったことを喜んだし、そして、まだまだ彼女が女であってくれたことに感謝さえした。
久しぶりであったからか、それとも俺のが大きすぎたのか、ともかく風呂の中ではお袋が痛がり、最後まで逝くことはできなかったが、その行為がその場だけで終わるはずもなく、場所を寝室に替えると、俺とお袋は白々と夜が明けるまでセックスに没頭し続けた。
はじめてお袋の中で射精したあとの罪悪感は、何ともいえないほど苦いもので、俺はお袋の胸の上で荒い息を吐きながら、やたらと正気になってしまい、もう二度とこんなことはしないと口にしたりもしたが、当のお袋は、俺の頭をあやすように撫でながら、もう可愛がってくれないの?などと、妙に甘えた声を出したりするものだから、結局それからも二度、三度とお袋の中で果てることになった。
それはお袋なりの気遣いだったのだろうが、自分の息子のたくましさに嬉しさを覚えていたのも間違いない。
今ではすっかり俺のものにも慣れて、膣もあきれるほどに濡れるようになった。
アナルまで使えるようになり、その背徳的な魅力に取り憑かれて、自分から欲しがったりもする。
もう、自分の年齢が若くないことを知っている。
俺との関係が、それほど長く続かないことも承知しているだろう。
俺という男を得て、女として生きる最後の時間を燃やし尽くそうとしているかのように思える。
だから、俺の求めを拒まないし、拒めない。
今夜は、親父に呼ばれてお袋は話し合いに出掛けた。
まだ帰ってこないということは、もしかしたら親父に抱かれているのかもしれない。
まったく毛のないお袋のアソコを見て親父はどんな顔をするのか。
お袋は教えに行ったのだ。
もう、自分には違う男がいるのだと。
出掛ける前に、親父としたりするなよ、と言ったら、私はあんただけのものよ、お袋は笑った。
その笑顔の中に、信じなさい、と教える母親の顔を見たような気がした。
きっと明日になったら普通の顔をしてこの部屋に戻っている。
仕事から帰った俺は、すぐにお袋を裸にして、親父としたことを責めて折檻するだけだ。
真実など、どちらであってもかまわない。
お袋のいない夜がこんなに切なくなるとは思っていなかった。
このやりきれなさを思う存分ぶつけて泣かせてやる。
お袋だって、俺に責められて泣かされるのを待っているはずなのだから。