姉貴の様子に不可解な点があったのは、ここ1年くらいだった。
家に見たこともないメーカーのサプリメントとか調理器具とかが増えていき、姉貴は俺にそのアイテムを自慢するようになったのだ。
そして俺にもそのアイテムを勧めてくるのである。「一緒に会員になって、今度セミナーに行こう」と。
俺はなんだか宗教にはまったよう姉貴を怪しんで、そのメーカーを調べてみると、やっぱり「ねずみ講」という語句が散々ヒットしたのだった。
かといって俺が「いらねーよ。そんな怪しいもの」と言えば、烈火の如く怒り初めるのだった。
そして俺もそのうち、何も言わなくなった。誰にも迷惑かけるなよ。とだけおもっていた。
だが姉貴は自分の仕事の給料の大半を、そのメーカーの販売するアイテムに使い始め、ひと付き合いをまったくしなくなった。一般的なひと付き合いで使う金は「無駄」だというのだ。
自分の将来の為にならない連中と付き合って飲みにいく時間と金があったら、セミナーに通ってメーカーの良品で自分をキレイにしていくほうが有意義。というのだ。
そのうち、友達も姉貴から離れていってるのが目に付いた。前までは姉のケータイはいつも煩くなっていて、家の電話まで友達から掛かってきてたのに、この頃、めっぽう同級生とかそういう連中とかと連絡を取らなくなってきてたのだ。
俺は内心(そうとうヤバイな)とはおもってたが、かといって打つ手もなかった。いつかは飽きるだろう。とそう願ってた。
そして姉貴がそのねずみ講(姉貴は絶対ねずみ講ではない。と言い切るが)にハマってから、半年近くたった頃、とうとう俺も過ちを犯してしまった。
その日、俺は仕事の帰り、同僚との飲み会があって、いつもより、というか、人生で初めてといっていいくらい酒に酔った。
同僚に酒豪がいて、日本酒をガンガン勧められて、もう地球はクルクル回るわ、まっすぐ歩けないわという有様だった。
だがサイフの金も底をつき、俺のほかにもダウンする同僚が数名いたので、飲み会自体はそれでお開きとなった。俺はそれからタクシーにのって家に帰った。
家にかえる途中、タクシーで俺をムショウに俺を襲ってたのは、意味不明な漠然とした「性欲」だった。
俺はそのあまりに盛んな性欲が俺の思考を支配して、家に金を取りに帰って、またタクシーで繁華街に戻って、風俗に行こう!と俺はタクシーの中で決意していた。
だが俺が実際に家に帰ると、俺がおもってたよりも自分の貯金がなく、風俗で使う金が工面できない現実に立たされたのだった。
そんな時に俺の部屋に現れたのが、家着姿の姉貴だったのだ。(ちなみに姉貴の家着というのはその時はタンクトップとデニミニ)
俺ははっきりと覚えているのだが、さすがに姉貴が露出の高い格好をしているから。といって襲ってやろうとまで思うほど狂ってはなかった。
俺は姉貴に「明日返すから金かしてくれないか」と言った。まだ俺は風俗にいくつもりだったのだ。しかし姉からは金の面では一切信用されてない俺は、そこで姉と口論になった。
俺の主張は「絶対に明日返すっていってるじゃん!」
姉の主張は「無理。信用できない。前もそういってて2000円ふみたおされた」
というのである。
そして姉は最初は深夜に帰ってきて俺を心配して俺の部屋に様子を見に来たのだったが、俺がへべれけに酔ってて、さらに金を貸せとまでいってる姿に愛想を尽かし、姉は部屋を出て行こうとしたのだ。
で、俺は襲うつもりはなかったのだが、部屋を出ようとする姉貴を背後から「まってぇぇえ。頼むから金~~~」と駄々っ子のように、半ば冗談で姉貴にしがみついたのだった。
そこで俺は本能を刺激する感触があった。たまたま背後から無造作にしがみついたものだから、姉貴の胸に腕があたり、「ぷみゅ」という感覚が俺の両腕を襲ってきたのだった。
姉貴は「はなせや!!」と俺を振りほどこうとするが、俺は「たのむ。明日返すから」と口ではいってるものの、また別の俺が俺の思考を支配してきたのだった。
(この際、風俗のかわりに姉貴のカラダでもいいかな・・・)みたいな、そんな感覚だった。
そして俺は姉貴を部屋に引きずり込み、自分のベッドの上に座らせるような感じで引きずった。姉貴は「はなせやー!この酔っ払い!」と俺を愚弄してくるが、俺にはそんな愚弄はきかなかった。
で、俺は姉貴が逃げれないように、自分が扉側に立つと、姉貴は「そこどいてよ!」と言う。そこで俺は取引をした。
「なぁなぁ。2万かしてくれたら、こんどセミナー行くからw あ、あのサプリも買うw」というと・・・・
姉貴は「本当か?」と態度を改めたのだ。
姉貴は「この時間から2万も何につかうんよ」と聞いてきたので、俺は咄嗟のウソが思いつかず、、、、
「付き合いでキャバクラwww」と半ば、本当かウソのまじったような回答をした。すると姉貴は「ぜったい無理。そんな無駄なことに2万とか無理」と言ってきたのだった。
で、俺はもうその時点では時間も時間だし、風営法上、普通の店はもう開いてないと思ってたので半分、風俗は諦めてた。
俺は「あ、そう。無理か。じゃ、ネーちゃんがキャバ嬢の役やってよww」と、もう支離滅裂な事を言ったと思う。酔ってても記憶がなくなっているわけじゃないので、それは覚えている。
姉貴からすれば、つまり「弟の相手をすればセミナー参加させて、サプリも買ってくれる」という取引だったことだろう。
で、結局、姉貴は「わかった。じゃ(話)相手になるから、今度セミナーいくよ」といってきて、さらに「何か飲み物とってくる」といって、姉貴もビールを冷蔵庫から持ってきたのだった。
そして俺と姉貴は二人で、俺の部屋のベッドの上で、姉貴がもってきたそのねずみ講メーカーのカタログを開いて、くどくどと、どれが健康にいいとか、アレがどうだとか、興味のないメーカーの収益方法のシステムとかを教えられるのだった。
その時、姉貴はあぐらをかいていた。
なので、俺にはデニミニから姉貴の薄い黄色のパンツがはっきりと見えてたのだが、姉貴は俺の目線はカタログにいってると思ってるのか、酔っ払い相手だと思ってるのか、弟だからと思ってるのか、それはわからないが、パンツが見えてても平気なような感じだった。
だが、俺の目線は、カタログではなく、姉貴のデニミニの中ばかりだった。
不思議なもんだ。普段、酔ってないときにこんなの見ても、変なものみてしまった。という感覚しかないが、その時に限っては、まるでエロ本、エロ画像を生で見ているような感じで、性的興奮を伴って、俺の脳内でその映像が処理されるのであった。
そして気がつかないうちに、俺は最初、冗談と酒の勢いでふと頭によぎった、、、、
(この際、風俗のかわりに姉貴のカラダでもいいかな・・・)みたいな感覚が、本当に実行してやろうか。という決意にかわっていったのだった。
つづく