私は45歳。
妻と、子供が2人います。
母は67歳。
我が家から車で1時間ほどの所に、父と暮らしています。
数ヶ月前、従兄弟の結婚式の案内が、父と母に届きましたが、父は腰を患っており、車に長時間乗る事や、椅子に座っているのが苦痛です。
しかし、せっかくの結婚式を欠席するのも申し訳なく、私が父の代理で出席することに。
式場は車で片道3時間ほど。
式が終わった後に帰って来るのも大変なので、式場のホテルにツインを予約。
初めての、母と2人だけの外泊。
本当はダブルを予約したいくらいですが、それも変な話。
中学生で性に興味をもって以来、母を女性として見ていた。
母と二人だけで出かける機会も少なく、30年に一度のチャンスが巡って来た。
それからというもの、結婚式当日まで期待が膨らみ、たくさんの想像が頭の中を廻って行く。
ようやく当日。
母の着付けが間に合うよう、朝早めに出発。
母の手作りおにぎりを食べながら、ぎこちない会話。
そのうち、早起きした母は、少し椅子を倒し寝息をたてはじめた。
エアコンを緩めた車内。
今日のために染めた髪。
ボタンを外し、ユッタリとさせているブラウスの襟元。
透けるベージュのブラ。
うっすらと汗の滲んだ腋。
スカートから見える、ストッキングを履いていない生足。
化粧の香りと、寝汗の体臭。
半開きの唇。
母を凝視しながら、このまま路肩にクルマを停めて、覆い被さりたい衝動を、必死に抑えた。
数時間後
式も滞りなく終わり、当日帰る親戚を駅まで送ったり、しばらくぶりの叔父さんの相手をしていると、部屋に戻れたのは夜9時前だった。
母はすでにシャワーを浴び終わり、ベッドに腰掛けてテレビを眺めていた。
私が部屋に戻ると、「お疲れ様」と労い、せっかくの結婚式に、ビールも飲ませなくて申し訳ないと詫びた。
シャワーを浴びながら、2ヶ月の間考えていた言葉を、もう一度繰り返していた。
母はどのように拒むのだろうか?
怒りを爆発させるのか。
泣き出してしまうのか。
心臓が早くなり、息が苦しい。
身体を拭き終わり、浴衣姿で隣のベッドに腰を下ろす。
母は冷蔵庫からビールを1本取り出し、私に勧めた。
母は改めて私に労いの言葉をかけた。
「母さんこそ、慣れない着物で疲れたんじゃない?」
コップをスタンドランプの横に置きながら、母に近づく。
おもむろに肩に手をかけながら、
「肩を揉むのは小学校以来かな?」
と、声をかけた。
一瞬、身体を固くした母だったが、笑いながら肯定の返事をくれた。
肩を揉み続けながら、今夜は一緒のベッドに寝たいとお願いした。
「何を甘えているの?小学生みたい。」
とぼける母に、後ろから手を回して抱きついた。
お互いの頬が触れ合う。
手のひらに乳房の柔らかい感触を感じる。
「ちょっと」
私の腕を退けようと、身体を離した。
「変な甘え方をして、何かあったの?」
「今晩、同じベッドに寝させてもらいたい。」
母の質問に答えずに、自分の思いだけを繰り返した。
「智美さん(妻の名前)と何かあったの?」
「智美とは何もない。うまくやってる。」
母は、妻と私の間が冷えきっているのではないかと心配している。
「智美さんに相談出来ない事でもあったの?」
母は、心から私を心配してくれている。
私は、30年間思っていた言葉を母に話した。
「母さんの事が、ずっと前から、女性として好きだった。母さんを抱きたい。」
私の言葉に驚き、母は涙を流しながら、自分の愛情が足りなかったからこんな事になったと顔を隠した。
同じベッドに、少し間を開けて座っていた母は、涙を拭きながら立ち上がり背中を向けた。
「母親にそんな気持ちを持つのは、浮気をするより罪が深い。」
母は、余程のショックを受けているはずなのに、取り乱したりせずに諭した。
私も立ち上がり、もう一度母の後ろに立った。
母は、浴衣の襟元を両腕で固く結び、強く身体を閉ざしている。
重い沈黙が続く。
私に後悔の念が、涙と共に溢れてきた。
「ごめんなさい。」
ようやく、その一言を絞り出した。
私は母に背を向け、ぬるくなったビールを一気に飲み干した。
嗚咽とビールに噎せた咳がまじる。
母は、ゆっくりと私に近づき、背中を擦ってくれる。
「今のごめんなさいは、私にではなく、智美さんに対しての言葉なんだよ。」
母の優しさは、妻に向けられていた。
「かわいい智美さんを裏切ってはいけないよ。」
「智美との生活を壊すつもりは絶対に無い。でも、母さんを好きな気持ちを閉じ込めていたら、耐えきれなくなる。」
母に背中を向けたまま、嗚咽が続いた。
母はまだ背中を擦ってくれている。
「智美さんとの家庭は壊さないんだね。」
母の手が背中からはなれた。
何かが床に落ちた。
振り替えると、母は浴衣の帯を外していた。
浴衣がはだけ、隙間から肌シャツが見える。
裾は手で押さえているため、パンティは見えない。
母は部屋の灯りを小さくした。
スタンドランプの灯りが母を妖艶に映す。
「何で、こんな年寄りに興味を持ったの?」
母の声は震えている。
母は、浴衣を脱ぎ、器用に畳んだ。
着古したベージュの肌シャツ。
色褪せたベージュのパンティ。
母も緊張から、汗だくになっていた。
じっとりと汗を吸った肌シャツが、身体に貼り付く。
私は母に一歩近づき、強く抱きしめた。
「康子」
あえて母を、名前で呼んだ。