母の一番下の妹になる叔母の章枝が”話もあるから、週末に遊びに来い”と電話してきた。
叔母は小さいころから不思議なくらい私を可愛がってくれて、私が一人暮らしになってからは、よく食事に招いてくれた。土曜日の夕方いつもの調子で叔母の家に行った。
叔母の家は子供は従妹の晶子だけで、その日も叔父が”もう二十四にもなるからそろそろ結婚”とか言い始めたが、私は”一人娘だから叔父ちゃん泣いちゃうだろう”とか当たり障りの無いように応じていた。
叔父の将棋の相手になっていると、10時を過ぎていた。
「俊介、今日は泊まっていくでしょう。また明日将棋の相手してやってよ」
叔母が決めつけたように言うので、叔母に言われるがまま風呂に入った。風呂から出ると、新品の下着とパジャマが用意されていた。
ここまでは、叔母に感謝しつつ何も思わなかったが、いつも泊めてもらっている座敷に入ると自分の置かれている状況に「?」が。座敷には二組の布団がひっついて敷いてあり、枕元にはティッシュペーパーとタオル、水差しが置いてあった。とりあえず布団に入ったものの頭の中はフル回転でこの状況における解答を求めていた。
解答は襖を開けて入ってきた。スリップのような光沢の白いナイトウエアに、いつもポニーテールにしている髪をおろした晶子は、震えるほど綺麗だった。末っ子の私にとって近所で接してき3歳年下の晶子は妹以外何ものでもなかったし、女性としてみる考えたことは今までなかった。
「お兄ちゃん一緒に寝ていい」
晶子は横を向いて寝ていた私の横に潜り込んできた。晶子の暖かさと、晶子からくる匂いに打ち勝てずに、晶子の背中に手をまわしてぐいと抱き寄せた。
ここで晶子をこのまま抱いてしまえば、あっという間に結婚が決まり、叔母の家でマスオさんとして生きていくことは、分かっているが、どうしようもなかった。