流石に母親とかは対象外だが、従姉となると身近な異性だ。
沙弥は俺より4つ歳上の22歳、顔は可愛いってよりキレイ系。
俺は18になると即行で免許を取った。
昔から車が好きでこの日を待っていた!!って感じだ。
行く先は県内外あちこち、一人でも行くし友達ともドライブしまくった。
今ではしないけど、朝ガソリン満タンにして帰る頃には空になる位走った。
従姉は当時22歳の大学四年生、俺は新入学の一年生で同じ大学に通う生徒だった。
キャンパスは広いしサークルも違うから滅多には会わない。
それでもたまにすれ違いもするし、挨拶もする。
俺なんかより頭も良いので参考書のアドバイスなんかも受けていた。
雨が酷い日はお互い時間が合えば送ったりもしていた。
残念な事に車が全てだった当時の俺は彼女すら居なかった(笑)
よく車内ではもっと広く遊べと心配?されたりもしていた。
梅雨だったのか台風だったのかとにかく暴風雨って日があった。
俺はサークル棟の中から外を眺めながらボケッとしていた。
コンコン
ノックの後に沙弥が顔を覗かせた。
「あきら君いますか~?」
最初は先輩達にやたらと大人ッポイ彼女がいるな、と思われたらしいがこの頃はたまに顔を出す従姉って認識されていた。
「ちょっと良い?」
案の定というか送ってもらえないか…というお願いだった。
「い~よ別に、でももう出るの?」
まだ帰るには早いな~と考えて聞いた。
「あきらに合わせるよ、でさ~…お願いがあるんだけどアタシの友達も良いかな?」
沙弥の友達も乗せて欲しいとお願いされた。
その人もまだサークルにいるからまだ大丈夫との事だ。
「どこまで?」
「○○までなんだけど…」
近くは無いな~と思いつつOKした。
「へ~!!彼女いないんだ?」
人見知りしないというか、沙弥の友達はよく喋った。
「二人を最初に見た時は沙弥の彼氏かと思った~」
気をつかってか話し掛けてくれるのは嬉しいが、一応初心者の俺には土砂降りの中、しかも知らない道は緊張するし集中したい、まさか俺に声かけないでとは言えないので困っていた。
「女の子馴れしてないんだね!」
確かに男子校から来てるから馴れてはいないけど、今回はちょっと違う。
「ハハハ…」
と笑って誤魔化すしかない。
「じゃあ、今まで彼女いたこと無いの?」
「ハァ、そうですね」
「じゃあまだ色々経験してないんだね~」
下ネタですか?ってのも出てきた。
「やめなよ~ミカ、あたしの従弟をからかわないでよね~!」
「何言ってんの~!せっかく大学生なんだから遊ばないと~」
「アタシが色々教えてあげようか~ww?」
ミカさんは俺が困ってる顔が楽しいらしかった。
女馴れしてない年下の一年生だし、からかうのが楽しいみたいだ…
ミカさんの家に着くとお茶を出すからと強引に上げられた。
正直散々喋ったし、天気は悪すぎるし帰りたかったが先輩に逆らうのはイカンと思っていたので上がることになった。
ミカさんの家にはお母さんだけがいて、お茶を出してくれた。
俺は初めての知らない女性の部屋に緊張しまくりで正座して座っていた。
「ゴメンね~遅くなったね…」
ミカさんが部屋を出た時にコソコソと沙弥が言っていた。
「大丈夫…だけど帰り道大丈夫かな~?」
暗いし土砂降りだし、さらには知らない道が心配だった。
「沙弥が色々教えてあげたら~?」
相変わらず酔っぱらいみたいな下ネタ全開のミカさんは暴走気味だ。
沙弥がトイレを借りに行ってる時には俺の手を取り緊張でかいてる手の汗を笑われた。
「これ、アタシのピッチの番号だから、良かったら暇な時にかけてよ!沙弥には内緒ね」
良からぬ期待を持ちつつも二人で会う事は無いだろうなって思った。
「うるさくて大変だったでしょ?」
帰りの車で沙弥は心配そうに聞いてきた。
「面白い人だったよ、大丈夫」
既に道に迷いつつ俺は答えた。
「ミカも悪気は無いんだけど、下ネタは引いたでしょ?」
アハハ~と笑うしか無い。
「あのさ~、ピッチの番号渡されたんだけど…」
黙ってても良かったが、後から沙弥にバラされるのも嫌でその紙を見せた。
「そうなの?しょうがないな~、まぁ暇なら今度かけてみたら?」
特に気にはしてないみたいだった。
「解ら~ん!」
俺は完全に迷った。
薄気味悪い道路で周りに民家も少なくなった。
絶対こんな所は通ってないし見覚えの無い地名が電柱に貼ってある。
当然沙弥も解らない。
コンビニも無いから聞く事も出来ないっていうか、こんな所にコンビニ建てても半年で無くなるだろう。
一休みしよう!と俺は自販機のそばに車を停めた。
最後は適当な民家に道を聞くか、と考えつつ沙弥に飲み物は何が良いかと聞いていた。
「アタシが買ってくるよ!」
「雨だし俺が行くよ」
「大丈夫」
「大丈夫じゃないよ、俺が行く」
何が良いのか聞いて行くつもりだったのに沙弥がパッとドアを開けると自販機に駆け寄った。
あっという間に出たから止める間もない。
「ちょっと待ってよ!」
俺も車内で待つ気にならずに結局後に続いた。
「な~んであきらも来るのよ!」
既にずぶ濡れの沙弥が俺を見て笑った。
「しょうがないじゃん!まさか自分だけ濡れない訳にも行かないし」
「も~!コーヒーで良いよね?」
「何でも良いから早く!」
小銭を出すのに手間取り、結局二人して川にでも落ちたの?って位にずぶ濡れだ。
車内灯を点けてお互いの顔を見た。
「アハハハ!!あきらすごい顔!」
「よく言うよ!沙弥ちゃんだってヤマンバみたいに髪型グチャグチャだよ!」
「婆じゃない!」
「つめて~」
タオルなんて無いし沙弥はハンカチで、俺はティッシュで顔や頭を拭いた。
「あきら顔にティッシュ付いてるよ」
俺を見て大笑いだ。
俺も言われっぱなしが悔しくて反撃した。
「自分こそ!ブラジャー透けまくりですけど!」
沙弥の胸元を指差した。
薄暗いし実際はそんなにハッキリ見えてた訳じゃ無かったが勢いってやつだ。
ハッとした顔をして胸元を確認していた。
「スケベ!!」
一瞬車内が沈黙し、調子に乗りすぎて失敗したと焦った。
「あ~!ミカに色々言われて見てみたくなったんでしょ?」
ちょっと胸元を隠しながら沙弥が笑いながらこっちを見た。
そんな事ないよ!と言おうとしたがちょっと答えに詰まった。
「あ~っ!ヤッパリ」
それを肯定と取ったかニンマリと笑った。
「違う!違う違う!」
慌てて否定するがこういう時って逆効果だよね。
「ホラホラ~!怪しい~」
既に胸元から手を退けて俺の慌てた顔を覗き込んだ。
「そんなに見たい?ホラッ」
そう言うとガバっと服を捲り上げた。
ソコには白と黒のストライプのブラがあった。
もちろん一瞬で下げられたけど。
「ヤッパリ見てるじゃん!」
「そりゃ見ちゃうよ、ガバってされたら」
ちょっと変な空気が流れて来たな~ってのは鈍感な俺にもさすがに解る。
沙弥は近付けた顔のまま変な笑顔だ。
「こういう時ってさ、キスするチャンスだと思わない?」
「イヤ~…思ったけど沙弥ちゃん従姉だし」
「ミカが良かった?」
「ナイナイ!」
「へ~?」
尚も顔を引かない沙弥に思いきってちょっとだけ顔を近付けた。
それでも顔を引かず俺を見ている。
そのまま唇を沙弥のに重ねてみた。
逃げないどころか俺の手を取り自分の肩に回させた。
「ね?以外と簡単でしょ、今は良い雰囲気だったでしょ?」
「う、うん多分…」
「この後はどうする?」
「どうするって…どうすれば良い?」
「じゃあ、ミカじゃなくてアタシが教えてあげるよ…でもここじゃ、車狭いしとりあえず移動しよ!」
え~!それって、とは聞かずに俺はとりあえず車を出した。
喉がやたらと乾いて買ったコーヒーはあっという間に無くなったwww
ようやく、本当にようやく店など並ぶ通りに出た。
これからの期待とやっと帰り道が見つかるという喜びで緊張半分期待半分で通りを走った。
「あそこ!」
沙弥が指差した方向にはホテルが見えた。
「本当に良いの?」
からかわれてるだけ?という不安がある。
「うん」
俺は生まれて初めてのラブホの入り口をくぐった。
それぞれの部屋の前に停まった車、まさかその一台に自分がこんなに早くなるとは、と考えながら空いてる場所へ車を停めた。
一緒に部屋へ入る。
『イラッシャイマセ、トウホテルへヨウコソ…』
機械的なアナウンスに滅茶苦茶驚いた記憶がある。
「あ~あ!もう逃げられないよ」
沙弥はいたずらっ子みたいな顔でこちらを見て笑っていた。