ボロボロになった僕を支えてくれたのは姉だけだった・・・
家族はバラバラになり離婚、学校で友人関係も上手くいかず、ほぼいじめのような事になった。
他にも書ききれないほど嫌な事があった・・・
うつ病になってしまい心が疲れてしまった僕は何もする気になれなかった。
姉(21)は大学に行きながらバイトをして家計を支えていた。
僕(14)は中学生,学校には通えたものの学校は休みがちでした。
姉とは昔から仲良くて、うつ病になってからも良くはげましてくれた。
その日は学校を休んでいて・・・・「しんや・・・ご飯食べた?」 「・・・ううん」 拒食気味だった僕はだいぶ痩せ細っていた。
「いいや・・食べたくないよ」 「少し食べれない?」 「・・・ムリ」 朝から何も食べていないけどお腹が空かない・・・
姉がお粥をスプーンですくってフーフーと冷ましてから、僕の口に運ぶ。
「一口だけでもね?」
ゆっくりと飲み込む・・・「ごめんね・・・お姉ちゃん・・」
「いいよ、一口食べれたじゃん」
そう言って頭を撫でる。
「きっと良くなるよ、私が治るまで一緒にいるよ」
ぎゅっと手をにぎってくれる姉・・・
暖かさが伝わる・・・それなのに苦しみしか感じない・・・
「今日はバイトも大学も休みだから家にいるよ」
そう言って部屋を出ていく。
枕に顔をうずめる。
「何も出来ないのかな・・僕・・」一人で呟く。薬のせいで眠い・・・
目を閉じる・・・
目が覚めると日がくれていた。
下に降りると姉はいない、置き手紙がある 「ちょっと買い物に行ってきます。夕飯は一緒に食べようね!!」
椅子に座りテレビをつける、頭に入らない。
台所に行きお茶を飲む。
目に入った物があった・・ホットケーキ・・・
作ってみようかな・・?
手に取って作り方を見る、「卵と牛乳と粉か・・出来るかも」
材料を混ぜ、フライパンに油を引く。
「これくらいかな?」
大きさが分からない・・・料理なんてしたことないもんな。
ジューと焼ける音、しばらくして裏返す。
「・・・少し焦げた・・」
いい感じに焼けてきたのでお皿に移す。
上からハチミツをかけて完成。
「これでいいのかな?」
と同時にドアが開く音。
「ただいまー・・おっ!なんの匂い?」
「おかえり・・・ホットケーキ作ってみた」
「おおーやれば出来る子だね!」
「お姉ちゃんのために作ったんだ・・」
なんとなく出た言葉・・・
「へぇー嬉しいなぁ、しんやはやっぱり優しいね。」
「一緒に食べよう」
テーブルに座る、隣には姉「どれどれ、一口」
姉の顔を見る・・・
ニッコリ笑って「美味しいよ!!」
「しんやも食べな」
一口食べる・・甘いし暖かい。
「今日は良くやったね!」
そして頬にキスされた。
「姉ちゃん・・子供じゃないんだし・・」
「へへ!いいの。ごほうび」
姉は子供の頃からこんな調子だ。
僕をいっつも子供扱い、そのくせ自分も子供っぽい。
「気分はどう?」
「いつもよりはいいかな・・」
「私のチューのおかげかな?」
そう言ってニッコリ笑う。この笑顔を守りたい、大好きな姉の笑顔・・・
「もう寝るよ・・・」
「うん、おやすみ」
階段をあがる足はいつもより軽い、本当にキスのおかげかも・・・と思った。