従兄弟の結婚式に参加する為に父親の実感に母親と向かった。
父親は仕事の都合で当日の式に間に合せるとの事、久しぶりに家を訪ねると親戚が集まり賑やかな雰囲気、母親も俺も皆の話に加わり数時間を過ごす。
明日が早いからと親戚が引き上げ出し俺達も近くのビジネスホテルを予約したからと家を出た。
途中、コンビニで買い物をしてホテルにチェックイン。
周りには大きな建物はなく、各家々に灯る明かりが何となく郷愁をそそる。
「母さんビールでも飲もうか?」
俺が言うと
「うん、疲れたから風呂に入って来る、その後で、あんたは風呂に入らないの」「俺は面倒だからシャワーで良いわ」
「そう、だったら先にシャワー浴びてしまったら?」
等と話ながら二人が風呂を終えたのは既に夜中に成ろうとしていた。
「あ~、さっぱりした、ちょっとだけ飲もうか」
母親はホテルに備えてある浴衣姿で前の椅子に座る。
缶ビールを開け母親の前に出すと
一本も要らないからとグラスに注いだビールを少しずつ喉に流し込みながら
「あんたと、こんな風に向かい合うのって初めてじゃない」とか話始める。
取り留めのない話をする内に無意識だろうか母親が組んだ脚の浴衣の掛け合わせが外れ膝が露になった。
ビールで少し上気した母親の顔と浴衣の裾が端だけた姿が何となく艶っぽく見えてしまった。
俺の視線に気づいた母親は
「馬鹿‥」
と俺の顔を見ながら言い端だけた姿を治しながら言う。
俺も慌て視線を窓に外した、ガラスに写る母親も恥ずかしいと思ったのかグラスに注がれたビールの残りを一気に飲み干している。
暫く沈黙が続いた後「母さんの見えてた?」
母親が呟くように聞いて来る。
「ちょっとだけ‥」俺も照れ臭さを隠すように指先でジェスチャを交えながら答える。
母親は俺に見られた事に尚更恥じ入るように黙り込んでしまう、焦った俺は
「母さんって見かけに依らず美人だよ、母子じゃ無かったら声を掛けてしまうかも‥今まで何にも気づかずに過ごして来たけど、若い頃は持てたんじゃ?」
何とも中途半端な声を掛けてしまう。
「今やすっかりお婆ちゃんに成ってしまったけどね」
はにかむような笑みを浮かべ母親が言う。
「もう一度、脚を組んでる所が見たいけど?」
「馬鹿ねぇ、何言ってるの」
「俺、ちょっと酔ったなぁ!でもマジにもう一回見てみたいよ」
真剣な視線で母親を見た、母親の目も何となく潤みを帯びる。