私と妻は×1どうしの再婚だった。
お互い妻には娘(ユイ)、私は息子(タイシ)のそれぞれ一人づつ子供を連れての再婚だった。
当時は娘も息子も中学3年と2年で、比較的に荒れる事もなく姉弟が出来た事を素直に喜んでいたので、新しい家庭で円満にやっていけると思っていた。あれから3年経ち娘も大学受験を迎え息子も高校2年生になる。
今年の夏に息子のバスケの全国大会で妻が一緒に行く事になり、仕事が忙しいので受験生の娘と二人で2~5日位過ごす 事になった。
一日目の夜は娘に何が食べたいか聞くと、外で食べたいかなぁと言うので、久しぶりに友人が経営しているフレンチの店を予約した。
娘も連れて行くのも初めてで、少し正装してくるように伝えて、駅で待ち合わせをしていた。駅で5分程待っていると、「パパごめんね。遅くなっちゃった。」と後ろから聞こえたので振り返ると、黒のイブニングドレスに身を包みハンドバッグを方手にして、化粧をした娘がいた。恐らく遅れそうになり走ったのだろうか、少し髪を乱し呼吸を肩でしていたが、それでも日頃から見慣れている娘の姿とはかけ離れていた。妻が若い時の写真に良く似ていた事もあり、本当に綺麗になった娘にボーっと見とれてしまった。「行こう!」と手を組んできた。大きく膨らんだ胸の弾力が腕に伝わり、少しドキッとしたが何食わぬ顔で歩きだした。「ねぇパパ、知らない人から見たら私達って夫婦に見えるかなぁ?」と聞いてきたので、「ユイもバカだなぁ、パパはもうオジサンだし、はたから見たら不倫カップルの様にしか見えないよ。」と薬指の指輪を軽く回しながら答えると、組んだ腕に一瞬ギュッと力を入れて「やっぱりユイにはまだ大人の魅力とか無いからかなぁ?ハァ~パパの為に一生懸命お化粧したのになぁ」とガッカリした様子をみせた。「違うよ。今日のユイは本当に綺麗だよ。いつの間にか大人の女性になってたからビックリしたよ。パパが若くて独身だったら、絶対にユイを嫁にしたいと思うよ。」
そういうと少し間を置いてから「じゃあ、その時はユイがお嫁さんになってあげるよ」と無邪気に微笑んだ。
親バカなどではなく本当に娘が美しく輝いて見えた瞬間だった。