「え?なんで?」
それを聞いたときは、こっちがドン引きした。
嫁の初めての相手は、実の父親。
6年生の時にやられたらしい。
「そっか・・・。いやな思い出なんか、早く忘れちまえよ。」
小倉優子似のメチャクチャ可愛い嫁だった。
結婚前に、彼女の口から話してくれた。
俺にすべてを打ち明けて、最初からやり直したい。
そんな気持ちから教えてくれたのだろうと思っていた。
「え?なんで、いやな思い出なわけ?全然いやじゃないけど。」
へ?
恥ずかしそうにしながらも、まじめな顔でそう答えていた。
「え?いやじゃなかったの?」
こっちの頭の中はクエスチョンマークだらけ。
頭の上にも、3つぐらい乗っかってたわ。
「うん。私の中では、全然!いやなことじゃなかったけど。でも、やっぱり、だめなことだよね。だから、もうしないって、決めたんだ。」
それ、本当だろうな?
結婚式で最後にやった両親への花束贈呈では、「お父さん、今までありがとう・・・。」なんて、号泣しながら、しがみついていた。
顔が引きつるって、初めてあの時体験したよ。
子供が出来たら出来たで、実家で産みたい、なんてほざいて、出産5ヶ月前から200メートル先の実家へ里帰り。
生まれたばかりの猿みたいな娘を嬉しそうに抱きながら、俺よりもお父さんに似てる、なんて、平然と言ってたっけ。
極めつけが先月のことだ。
いきなり股間の痒みが始まって、それは治まることなく猛烈な痒みに発展。
おかしいと思って、病院に行ったらケジラミと判明。
待て待て、最近、俺はそんな悪さしてねえぞ。
出所がわからず、頭抱えてたら、嫁が言いやがった。
「お母さんには内緒だけどね、お父さんねえ、今チンチンの毛、ないんだよ。すっごくおかしいの。」
おかしいのは、お前の頭だ!
そりゃ、ケジラミ移されて、剃ったんじゃねえか!
つか、なんでお前が知ってる?
嫁は、めずらしい体質で、生まれてこの方あそこに毛が生えたことがない。
いわゆる、パイパンだから自覚症状なし。
テメエ、親父が移されたのをお前がもらってきて、それを俺に移したんじゃねえか!
つうことは、今でも親父とやってんだろ!
とは言えず、顔も身体も異常なくらい好みだから、取りあえず浮気の相手がわかってるだけましや、なんて無理に自分を納得させて、ひとりチンチン搔いてる俺でした。