近親相姦体験告白

会社に電話が入る
妹さんよと、受けた事務員が興味本意な顔で私に受話器を差し出した
？？？
受話器を耳に当てると妹の嗚咽が聴こえる
？
胸騒ぎを抑え、静かに問う
どうした？
何があった？
泣いてたら意味が分からないだろ！

妹がシャクリ上げながら懸命に言う
父ちゃんと母ちゃんが事故で○○病院に運ばれたと
分かったと、妹に冷静な声で答え、事務員に事情を説明し会社を飛び出した

３年前に母親から同じ様な電話を受けたなとタクシーの中で思い出す
ただし、その時に病院に運ばれたのは、さっき電話をくれた妹だった
腰椎損傷不全
事故で妹は、立って数歩は歩けるが、一生車椅子の生活にされた
無口で控え目だが、真の強い妹は、今では家業で留守の多い母親に代わり、車椅子に乗りながら家事を全てこなしていた
病院に着き、受付で病室を聞くと、相談室に通された
不安になりながら、待つ
白衣をきた初老の女医が心痛な顔で入ってきた
想像はできた
最悪の事態が起こったと

10分後、霊安室で横たわる両親の身元確認をさせられた
判る訳がない…
二人共、頭部が無かった
妹は呼べないなぁと考えながら、横たわる二人を親とは思えなかった


49日を無事に済ませた
私は会社を辞めて家業の資材屋を継いでいた
葬儀や残務を妹は、事故後に呆けていた私に代わりしっかりとこなし涙は一粒も流さなかった

椅子に腰掛けタバコをふかす私の肩に、優しげに妹が手を置き
兄ちゃんと呟く
振り向くと泣いてる妹がいた
事故後、初めて妹が泣いている…
妹の肩が震え、嗚咽が聴こえる
耐えていたんだ
我慢していたんだ

妹の肩を抱きしめる
震えが肩越しに伝わる


49日の夜依頼、妹は涙を見せず、家業を手伝い私と一緒に事務所に通う様になった
ゴールデンウィークが来る
妹と夕飯を食べながらＧＷの話題が出た
兄ちゃん、魚釣りがしたいと、妹が突然言い出す
魚釣り？
私は目を丸くした
うん、魚釣り！
再び妹が言う

よっしゃ！
魚釣りさせてやる
私は決めた

淡路島の高台にあるホテルを予約した
ＧＷ前なのにキャンセルでセミスイートが空いていた
予約時に妹が車椅子であることを伝え釣り船の相談をしたら、対応してくれたスタッフさんが、任せて下さいと、自信ありげに受けてくれる
ＧＷ、ホテルにチェックイン
兄妹をホテルは自然に、とても優しく迎え入れてくれ、お風呂も女性スタッフが水着で介護してくれる