不思議体験B面
急遽開催となったプチ同級会。
男:4 女:3
女の子は
アヤ、クミ、茜ちゃんの3人。
アヤ、クミはただの同級生。
茜ちゃんはちょっと違う。母親同士が友達だったため、小学校に入る前から遊んでいた。結果的に小一~中三までクラスも同じのまさに幼なじみだ。普段は茜と呼び捨てにしていたけど、母親の影響でたまに『茜ちゃん』と呼んでしまうこともある。
一次会も始まってすぐ私は茜の隣に行きたかったがなかなかタイミングが合わず不発。茜は他の同級生と話してる間もずっと携帯を弄っている。なんとなく頭に来た私は茜がトイレに行ったのを確認し、跡を追った。トイレから出てきた茜に
『お前さ、せっかく皆で久しぶりに飲んでるんだから携帯弄るのなんとかなんないの?』
『なに?そっちこそ久しぶりに会ったのになんでそんなに怒ってるの?彼氏からメールがいっぱいくるんだからしょうがないでしょ?』
あまりに強い口調に圧され
『悪かったよ。彼氏じゃしょうがない。すまん。』
『私もイライラしてごめん…。そういえば私、カズのアドレスと番号しらないね。教えてよ。』
確かに茜のアドレスとかは知らなかった。中学時代に《おまえら両思いだろ》とからかわれて以来、まともに口も聞いていないし、その時代に携帯はない。
『そうだな。俺も知らないし、交換。』
携帯の赤外線で交換しようとするとまた茜の携帯が鳴る。茜は怪訝な顔で携帯を見ている。そして私に目を向ける。私はジェスチャーで《出れば》みたいなサインを送ると茜は《すまん》サインを出して携帯に出た。
暫くすると茜は
『ごめんごめん。はい、交換』
と言って交換終了。
『ちゃんとメールしろよ。』
と。
懐かしい。茜は少し男勝りなとこがあり、こういう口調やハッキリとモノを言う女だった。中2の時、突然私の家に遊びに来ていきなり
『カズ、キスしてみない?』
と言われた事もあった。今でも鮮明に覚えている。
茜はいそいそと幹事のとこに行き、金を払ってバイバイも言わず店を出て行った。
22:15
昌雄の家から帰る途中、茜の住むアパートの前を通った。灯りは点いていない。
茜のアパートは1階にコンビニと小さなBARが入っていて茜の部屋はその2階にある。
私は久しぶりにその小さなBARに行くことにした。BARのマスターとは20年以上の付き合いで近所のガキ大将だった人。昔は茜も含めよく遊んでもらった。
店に入るとマスターが
『おっ、久しぶりの常連が来たな。しかもちょうどいいタイミングで。』
と言ってカウンターの一番外側を指さす。
見ると茜がカウンターに顔を付けて寝ているようだった。マスターは
『確か、おまえら同級生だよな?』
『はい。茜は寝てるの?』『寝てない。具合が悪いらしく、今さっきあの体勢になったところ。つうか、ビールでいいの?』
『はい。』
注いでもらったビールを片手に茜の隣に座る。気配を察したのか茜が私を見る。
『なんでカズがここにいるの?』
『そのセリフそっくりお前に返す。』
『んー。なんでだろ?』
そう言った茜の顔は、目は腫れぼったくなり、化粧も崩れかけ、ショートカットの髪もボサボサになっていた。
『どうした?彼氏と喧嘩したのか?』
『喧嘩じゃない。前にプレゼントした指輪を投げ返されて、別れた。』
『そうか…。』
そこから2人でゆっくり飲みながらいろいろ話した。24:30
マスターが
『今日は平日で暇だし、もう店閉めるぞ。』
茜は金を払い、店を出ようとするが千鳥足で上手く歩けない。ハッキリ言ってベロベロだ。私が来る前に相当飲んだらしい。
茜の肩を抱き部屋まで行った。部屋に入ると茜が
『ごめんね。30過ぎた女が酔い潰れるのはみっともないね。』
というので
『たまにはいいんじゃない。』茜は
『着替えるからあっち向いてて。』
『わかった。』
茜は着替え始めたが酔って足元がフラフラのためなかなか着替えが終わらない。すると、パジャマのズボンがひっかかったのか、急に私の背中にぶつかってきた。
咄嗟に振り返り茜を支えようとすると、そこにはパジャマの上だけ着て、下はパンツ姿の茜がいる。
『ごめん、ごめん(笑)ちょっとシャワーしてくる。』
パジャマを持って風呂場に。
シャワーから戻った茜は少し落ち着いたようで
『ありがとう。ごめんなさい。』
『気にするな。』
『ありがとう。』
そう言って布団に潜った。
『じゃあ俺は帰るよ。』
『わかった。ありがとう。』
私は茜の部屋を出た。
下のコンビニでコーヒーを買い、一服。
ふと、茜の部屋を見る。灯りは点いたまま。
そういえば鍵をかけていない。
茜の部屋に戻ると案の定鍵はかかっておらず、部屋に入り、茜に
『鍵かけろよ。』
と言ったが無反応。布団をめくり、茜の顔を布団から出してもう一回
『茜、鍵。』
無反応。
私は茜の寝顔をしばらく見ていた。
続き書かせてもらいます。
元々B面を書くつもりでいましたが仕事が多忙で遅れました。期待させてしまって申し訳ありませんでした。
よろしければ続きも読んで下さい。
相変わらずの前フリ長めをお許しを。
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