香奈子と飲み直して、他愛もない話しをしていると
香奈子は酔ったような感じで「タローくん、だ~いすき!」と
横から抱きついてきました。
以前なら慌てたと思いますが、さっき女将さんから聞いてたので
ボクもちょっと酔った振りをして「ボクも香奈子先輩のコト
好きですよ~!」って言ったんです。
すると一瞬、香奈子の顔つきが「えっ?、マジ?」って感じに
なりました。その顔は今まで見た事の無いような表情で
まさに女性の美しいそれだったのです。
今までそんな香奈子に気付かなかった自分を後悔しました。
そこで、ボクは真面目顔で「今まで仕事ではさんざんお世話になりました。
出来の悪い後輩でしたが、先輩のご指導で何とかやってこれました。
今回の仕事が無事に終えたのも、先輩のお力添えがあったからこそです。
本当にありがとうございました。
これからは仕事だけではなく、公私共に宜しくお願いします」と
言ったんです。
その言葉を言い終えた後、香奈子の目には涙がドバーッと浮かんできて
ボロボロ大粒になって頬を伝いました。
ちょっと驚いたボクは「どうしたんですか?」って聞きながら
ポケットからハンカチを差し出して涙を拭きました。
すると香奈子は「公私共になの?ホントに?」って聞いてくるんです。
「はい!公私共に、です」と言うと、香奈子は泣きながらまた
抱きついてきたので、そんな香奈子をギュッと強く抱きしめました。
しばらくの間そのままだった僕達ですが、嬉しいのと何となく
照れくさいような気持になり、香奈子から手を放しました。
すると香奈子の顔は涙の跡が付いてしまい、ちょっと笑いながら
「先輩、お化粧とれちゃいましたよ」って言うと香奈子は
「あ~、しまったぁ~」なんて言って2人で笑いました。
香奈子の顔をもう一度ハンカチで拭いてやると、「このハンカチ
もらってもいい?」って言うので「こんなので良かったらどうぞ」と。
「でもハンカチならもっとキレイなのありますよ」って言うと
「いいの、今夜のこれがいいの」って。
それからまた色々と話をしながら酒を飲みました。
夜中の2時頃になって、女将さんが「そろそろ閉めるわね。
せっかくなんだからこれもってタローくんのトコへ一緒に行きなさいよ」と
日本酒の小瓶を2本、持たせてくれました。
香奈子は「ん~、そーしよっかなぁ~。お邪魔じゃない?」って言うので
「いえ、大歓迎ですよ。是非来て下さい。でも男の一人暮らしですから
散らかってますよ」と言って話はまとまりました。
女将さんに安過ぎる会計を払ってお礼を言ってタクシーに2人で乗り
ボクの部屋へ向かったのです。
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