第009話【お預けを食らった犬の心境】
翌週の金曜日。
いつもならば、どんなに遅くても、「楽しみにしています。」というメールが届くのですが、この日は、18時を過ぎても来ませんでした。
こちらとしても、相手が人妻ゆえ、17時を過ぎるとメールが出来なくなりますので、どうしたものかと悩んでおりました。
ところが、20時過ぎ、メールを告げる音が鳴ります…
「(お知らせ)ご注文の品入荷しました。担当:〇〇美樹」
というタイトルでのメールが届きました。
知らないアドレスからだったのですが、タイトルを見る限り、彼女からのようです。
内容は…
「ご注文のキングジムパイプファイルA4/5cm-50冊、大変遅くなりましたが、月曜日にお届けします。何かございましたら、大変お手数ですが、本日21時までこちらのアドレスまでご連絡下さい」
というものでした。
恐らく、私の環境を気遣っての偽装メールだったのでしょう。
わざわざ、文房具屋にありそうなアドレスの捨てメールを作って、私に意味深なメールを送って来たようです。
正直、私は、笑ってしまいました。
当然、私としては、「色々とございます」状態でありますので、すぐに、そのアドレスにメールを返信しました。
なにせ、本日21時までと、わざわざ書いてきているという事は、そこまでしか時間が取れないことを意味していると思ったからです。
やがて、次の概要のメールが送られてきました。
今日お昼過ぎに、彼女のご主人が急に帰宅してきたと。
どうやら風邪をひいたたらしく、得意先で発熱に気づき、社に戻らずにまっすぐ戻ってきたとのことでした。
それから、病院に連れて行き、寝かしつけて、このような時間になったと。
そして、最後に、熱が下がる気配がないので、やはり明日は会えないというものでした。
マジにこの時はガックリ来ましたねえ。
あのような事があった次週であったことから、この時の私の落胆ぶりは、文字では表現できない程でした。
「お預けを食らった犬の心境!」
これって、正にこのことかなと思いました。
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