第054話【美樹、男二人組との攻防戦】
残されたのは、私と美樹の二人でしたが、オヤジさんが、更衣室で着替えて、元来た廊下を歩き、旅館の母屋に消えていったのを確認してからか、急に美樹が抱きついてきました。
そして、私の胸で泣き出したのでした。
オヤジさんが怖かったと。
そして、オヤジさんには絶対に逝かされたくなかったと。
でも、その親父さんの行為に感じて逝ってしまった自分を責めているようでありました。
私は美樹に言います。
それは、美樹が悪いのではないこと。
それは、俺が美樹に無理やりやらせてしまった故であるということを…。
どこまで、そして、どのように理解してくれたのかまではわかりませんが、とにかく、俺の言ったことに納得して、泣くのをやめてくれました。
ところが、俺は、ここで何故か急に激しい腹痛を覚え、母屋のトイレに入りに行く羽目になってしました。
罰が当たったのかもしれません。
美樹には、とりあえず、男湯から混浴の場所へと移動してもらい、そこで待ってもらうことにして、急いでトイレに向かいました。
オヤジさんと同じように、更衣室に入り、ろくに体も拭かずに、下着を身につけます。
そして、簡単に服を着ると、廊下を渡り、母屋へと戻ります。
途中、内湯の入口付近で、若い男二人組とすれ違いましたが、こっちはそれどころじゃないので、一目散にトイレへと駆け込みます。
ふう。間に合った。
どうやら、恥ずかしい思いはしなくて済んだ。そう思っていました。
何が悪かったのか、わかりませんが、押しては引き、引いては押してくる謎の腹痛と暫くの時間格闘していました。
とにかく、酷い腹痛でした。
これに翻弄されていたせいか、この時、かなり大きいミスを犯していたことにまだ気がついていませんでした。
兎に角、腹痛のせいで、私の頭の中は、いっぱいいっぱいでした。
しかし、排泄が始まり、腹痛がやや収まってくると、色々なことに思考を分散させることができるようになります。
今更ながらの話ですが、露天風呂の男湯脱衣室には、脱がせたオープンブラとショーツがあるわけなのですが、その下着類を、バスタオルなどできちんと隠すことを怠っていたのではないかという心配事が芽生えてきたのです。
そして、さっきすれ違った若い兄さん二人。
あの二人は屋内風呂に入ったのか、露天風呂に入ったのか、それも気になります。
だって、混浴スペースには美樹を残してきているので、彼らが露天風呂に行っているとすれば、男子更衣室で下着が見つかったり、美樹自身に何か起こっていたりなどが考えられ、とにかく、不安一杯なのです。
かなりの時間が経過したところで、トイレからようやく脱出することに成功した私は、今戻ってきた長い廊下をできるだけ急いで露天風呂へと進みます。
途中にある、内風呂の入り口付近で一度止まり、耳をすませてみますが、その中に誰かがいるような気配は微塵もありません。
思い切って、男性用の脱衣室を覗いてみますが、服を脱いだような跡もありません。やはり誰も入浴していないのです。
やはり、あの二人は露天風呂に行ったようです。
何度か書いているので、情景が浮かぶ方が居るかも知れませんが、男湯の露天風呂から、母屋から露天に行くための廊下が見えます。
ということは、逆もまた然りなのです。
音を立てずに、姿を出来るだけ隠して、こっそりと廊下に顔だけ出して露天風呂の方を覗き込んでみます。
そこには、先ほどすれ違った若めの男二人組らしき姿がありました。あったはあったのですが…
二人共、混浴の共同湯船の間にある垣根のところに並び、垣根の向こうを覗き込んでいたのです。
ピンときました。これは、美樹が覗かれていると。
彼らに気がつかれないように、ゆっくりと露天風呂へと続く屋外廊下に出る扉を開けます。
音が出ないように。
そして、素早く体を出すと、今度もゆっくりと閉めます。
彼らはと言うと、垣根の隙間にぴったりとくっついて向こうの湯殿を覗いていますが、意識がそっちに集中しているのでしょう、私には全く気がついていないようです。
その後は、屈んで、姿が見られないようにほふく前進をしながら、露天風呂の脱衣室の入り口へ向かって移動しました。とにかく、音はさせないように、細心の注意を払いながら…
やがて、脱衣室の入り口に着きました。ここまでくれば、もう立っても見つかりません。
とりあえず、音だけは、絶対に立てないように、男性脱衣室の扉を開けて、脱衣室に潜入しました。
美樹が脱いだ脱衣カゴの近くに、男物の衣服が乱雑に入れられた籠が二つ並んでいます。
そして、確認してしまいました。
美樹の例の下着が完全に動かされていた事実を!
この脱衣室で、美樹の淫裂をオヤジさんによく見せるために脱がせたショーツとそれが終わってからの入浴前に脱がせたオープンブラを籠にしまった際には、籠の隅に置いた筈なのですが、どエロなブラもショーツもバスタオルの上に放り出されたように置かれていたのです。
恐らく、あの二人は、この下着を見つけ取り出したのでしょう。
いや、取り出しただけではないのかもしれません。
私の頭の中では、色々な妄想が飛び交っていました。
ところが、その妄想から我に返る出来事がありました。
何を言ったのかわからなかったのですが、とにかく、複数の男の声が聞こえてきたのです。
脱衣室から露天風呂に出る扉があるのですが、そこに耳を当てて神経を集中させます。
たしかに、何か話をしているようです。
でも、その話し声は遠くなるような感じでやがて聞こえなくなってしまいました。
ちょっと不安になった私は、その扉を少しだけ開けて露天風呂を覗き込んでみます。
そこには、先ほどまでいたはずの男たちの姿ありませんでした。
しかし、その場所からは、石の配置の関係で、男湯の湯船全てが見えるわけではなかったので、脱衣場を出て、一度廊下へと戻り、男湯を覗き込んでみました。
やはり誰もいません。
そうなるともう、答えは一つです。
美樹が女湯に行っていれば別ですが、でなければ、タオル一枚すら持っていない状態であの二人組と混浴している事になるのです。
とにかく、この時、私の心臓はドキドキしていました。
美樹は今どうなってしまっているのか?
さっきのオヤジさんの時もそうでしたが、でも、まがいなりにも先程はコントロールできていました。
でも、今は自分の意志とは全く違うところで予期せぬ事象が発生しているかも知れないのです。
急ぎながら、でも、極力音を立てないように脱衣場に戻り、タオルと洗面道具を持つと、また静かに脱衣室を今度は男湯の湯船側の扉から出て、先ほど、男たちが隠れて覗いていた垣根前へと移動しました。
そして、恐る恐る、その垣根から、混浴の露天風呂の方を覗いてみたのです。
そこには美樹がいました。そして、その傍には、二人の男が…
男たち二人は、美樹の方を向いて、しかも、美樹をまるで囲むかのように湯船に浸かっています。
美樹はタオル一枚持っていません。しかも、透明度の高いこの泉質の湯の中で、身をよじらせたり、手を使って身体を隠しているに違いありませんが、どう頑張っても、彼女の乳だけは簡単に隠せるものではないはずです。
「ここは、混浴なんだからさあ?」
男の声が聞こえてきます。
彼の話している内容を聞くと、混浴なのだから変に隠さずにもっとリラックスしてはどうかとそのようなことを美樹に投げかけているようです。
美樹は美樹で、主人(多分俺のこと)が帰ってくるまで、ここにいろって言われただけなので、そんなこと言われても困ると反論しています。
美樹にしても、女湯に逃走を図ろうとしても、一度は湯船から身体を出さなくてはいけない訳で、それを躊躇しているようで、何とか男の方が男湯に戻るように仕向けようとしているのでした。
でも、男達は、内湯の前ですれ違った私の事が美樹の旦那だと確定したのでしょう。
暫くは戻ってこないとタカをくくっていたのかもしれません。
若しくは、母屋から外に出る扉を開けたら結構特徴的な音がするので、それで俺が戻ってきたことに気がつくとでも思っていたのかもしれません。
男は、更に美樹への誘いと揺さぶりを続けます。
「奥さんは、男性用の脱衣室で着替えたのでしょう?それって、見られちゃっても仕方ないって事なんじゃないの?」
とか
「すごい下着着けて来ているよね?あれって、見られるためのものでしょう?」
などです。
流石に、脱衣した場所と例の下着について言及されると、美樹の反論にも陰りが出てきます。
「もうすぐ主人が戻ってきますよ。困りますから、早く向こうに戻ってください。」
しかしながら、美樹の言葉は、はっきり言って防戦一方です。
でも、その男たちも、私が戻ってくることは重々承知なのでしょう。逆に時間と戦っていているという焦りは感じます。
「ぶっちゃけさ?奥さんがちらっと、また見せてくれたら、俺たちすぐ帰るからさ?」
またという言葉が若干引っかかりましたが、場合によっては飛び出そうとしていました。
しかし、ここで、美樹がよからぬことを言い出しました。
「ちょっと見せたら、あっちに行ってくれますか?」
まあ、正直なところ、美樹のこのセリフは私にとってショックでした。
ところが、その後に、何故このような返事を美樹がしたのかという理由がわかりました。
「帰る帰る。隠したものもちゃんと出しておくからさ?ほら、早く早く。」
この男のセリフを聞いてなるほどと思いました。
よく聞いてみると、今ここから立ち去るという事だけではなく、どうやら、男性の更衣室に置いていた美樹の衣服をこの男らが隠したので、それを返して欲しいのならというような事も言っていたようです。
要するに、隠した衣服も元に戻すし、今ここからもすぐに立ち去るからという、この二つの条件の代わりに裸を見せろと迫っていたのです。
これを聞いてしまった私でしたが、正直どのタイミングで出て行くべきか、悩んでいました。
「こんな事をして、主人が戻ってきたら大変なことになりますよ。」
美樹がここで、少し抵抗を見せました。
しかし、旦那はすぐに来ないだろうし、万が一来てもダッシュで逃げれるし、それよりも本当に帰るときに服見つからなくてもいいのか?という二人のハッタリに完全に押されています。
と、まあ、結構冷静で見ているようにこの文章は書いているのですが、この時の私の心臓は、正直、バクバクものでした。
現状で、彼らに見つからないようにというのもありますが、それよりも、若い男二人に脅迫じみた事を言われ、追い込まれつつある美樹がここでどうするかっていう事に私は、興奮してしまっていたのです。
その時でした。
「おー!」
男たちがそう、叫びました。
こちらからは、男が邪魔になって見えなかったのですが、恐らく、美樹は意を決して胸を隠していた手を外したのだと思います。
しかし、男たちは冷徹でした。
「すごいけれどさあ?お湯から出してくれないとよく見えないよね。」
調子に乗ってそんなようなことを言ってきます。
「ええっ!」
当然の美樹の反応です。
でも、心理的にかなり追い込まれていたのでしょう、数秒の間はあった気がしていますが、
「おおおおお。すげえええええええ。でっけーーーーーー」
という男たちの声が私の耳に届きました。
垣根の隙間から必死に向こうの様子を探ろうとしましたが、やはり、男たちが邪魔になって、よく確認できませんでした。
でも、この時美樹は少し上体を起こして、乳を湯船から出したようなのです。
「奥さんってとし、いくつ?」
「……30。」
「へえ。俺たちよりちょっとだけ年上だね。でも、同級の女より若く見えるよ。奥さん綺麗だし。」
というリップサービスが始まります。
この間、美樹はおっぱい晒しっ放しです。
「ねえねえ。そのおっぱいって、何カップ?」
「やっぱり、それだけあったら、パイズリとかってするの?」
などと間髪入れずに質問攻めしています。
「も、もういいでしょう?向こう行ってください。約束でしょ?」
美樹がそう哀願しました。でも、男達はこう言ったのです。
「そんなこと言わないでよ奥さん。ここまで来たんだから、もうちょっと見せてよ。」
「下にも興味あるしねえ。」
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