その週の土曜、それは梁ちゃんの通う武術学校のイベントがあった。
イベントといっても、内容は運動会や文化祭のような類のものではあるけど、実際は武術学校であるがゆえに、日ごろの研鑽と努力の成果を発表する武闘会といったほうがふさわしい。
聞くところによれば、武術の定義には3つあって、それは「武」「美」「爽」だった。
武というのは、文字の如く、実際に実践で役立つこと。
美というのは、みてて美しい事。
爽というのは、健康である意味。
この3つが伴わないと、武術とは言わないらしい。
そんな背景からか、この武闘会も3つの部門があり、「武」を競う、散打 「美」を競う、演武 「爽」を重んじる、太極拳や気功などがあった。
演武というのは、既に解説した通り、套路どおりに、いかに難易度の高い演武を披露し、高得点を得るか。というものを競う。
太極拳や気功などはもう、説明する必要もないと思う。
俺がその武道会を見て驚いたのが、やはり散打だった。中国という国は、人命軽視、人権無視の風潮があるのか、散打部門では、一切の防具をつけないんだよ。
聞くところによれば、さすがに自分の拳や足が相手のカラダにインパクトする時は、手加減をするというが、見てて結構、普通に鼻血出してるし、口から、血流している奴もざらにいた。
もちろん、梁ちゃんもその武道会に参加する訳であって、何が一番驚いたかというと、散打部門にもエントリーされていたとの事。(もちろん演武部門も)
午前中の演武武門では、双鈎っていうマニアックな形の武器を使って、蟷螂拳の演武をしていたんだ。なんというか、見ててめちゃめちゃカッコよかった。しかも、梁ちゃんは予想通りっていうか、学校でもかなり人気の高い女子らしく、梁ちゃんの演武が始まったら、あのだだっ広い体育館が、一気に空気が変わったような気がした。
正直いって、ブログネタや、エロ写真を撮る事だけを考えていた俺は、この梁ちゃんの日ごろの努力を垣間見て、なんだかアホな事で頭がいっぱいの自分が情けない存在にも見えた。
そして午前中から開始された武道会は昼の休憩をはさみ、午後から散打の試合が始まるのだが、さすが中国においても、演武や太極拳等よりも、散打は人気があるんだろう。午後になってからこの散打目当てのギャラリーっていうのか、一気に体育館の中に湧き出てきたような感じになったんだ。
俺は梁ちゃんにも学校の友達とかもいるだろうし、もしかしたら親御さんとかも見に来ているかもしれない。俺はこの土曜日の武道会では梁ちゃんに声をかけるのをやめようと思っていた。
そして散打の試合が始まったのだが、これといって優勝を競うっていう競技ではなさそうな感じだった。特にトーナメント表みたいなのも見当たらないし、1試合終わればそれぞれ、包拳礼(胸の前で右手の拳を、左手で包む、あの中国武侠映画でよくみるアレ)をしてから終わった。
だだっ広い体育館の西側が、男子。左側が女子っていう感じで、赤いマットの上に四角い線が描かれている中で生徒達は戦っていた。だいたい1試合5分~10分くらいで決着がつくのだが、勝負の決まりては、やはり手刀なり、拳なりが相手にヒットして、審判が「それまで!」みたいな感じでやっていく様子だった。
始まってかっら4試合目、梁ちゃんの出番になった。相手は同じ身長ほどの女。二人は包拳礼で礼をすると、そのまま四角のスペースの中央に近寄り、そして審判の「試合はじめ!」の掛け声がなった。
すると、お互い二人は下がってある程度の間合いを保ち、相手の女は、少林拳(後で梁ちゃんが言ってた)の構えをとり、梁ちゃんを威嚇しているのだった。
梁ちゃんは、相手の出方がどう出るのか、しばらく様子見をしているのか、構えといっても、かるく手足を前に出した程度のものだった。
けっこう梁ちゃんの試合は長かった。最初の相手の出方を見るというだけで5分くらいはかかっていた。周囲のギャラリーはこの緊張した雰囲気にのまれ、男子ブースでは、わーわーと応援する声が飛び交っていたが、女子ブースでは、二人のなりゆきを見守って、シーンとしていた。
するとシビレをきらした女のほうが、あらゆる角度から拳や蹴りを繰り出してきたが、梁ちゃんはそれを腕でふせぎ、相手の蹴りを、自分の脛で受けたり、またカラダ全体で華麗に交わしていた。しかし、徐々に四角いスペースの端っこに追いやられ、審判が「中央へ!」みたいな注意がはいり、また二人は中央へと戻っていった。
誰もがこう思っただろう。梁ちゃんは、相手の女の気迫に呑まれている。って。
そして2ラウンド、女はまた獣のように梁ちゃんにとびかかり、組合になった。そしてお互い、パチパチと手や足で攻防をしたのち・・・!! 少し間合いが開いたと思ったら、梁ちゃんは、さっきまで構えにならない構え(基本的なファイティングポーズっていうのか?)しかしていなかったのに、いきなり蟷螂拳のあのカマキリの構えを取り出したのだった。
一気に周囲が「オオオオオオオオオ!!!!!!」と歓声が上がった。
カマキリバージョンの梁ちゃんは、攻撃の仕方も、受け方もあらゆる動きが今までとはちがい、まるでカマキリそのものだった。カマキリ梁ちゃんは、相手に2本の鎌やヒザ蹴り、二段蹴りで襲い掛かり、相手もその変化自在の攻撃にアタフタし始めていた。
そして最終的に、梁ちゃんがしゃがんで、左足で足払いをしたところ、油断していた相手の二つのアキレス腱を裏から払いのけるような感じになり、女はバランスを崩し、背後へと倒れていった。
一瞬の出来事だった。
すると梁ちゃんは左足払いをしたそのカラダの軸の回転力を利用し、そのまま右足のふくらはぎを間髪入れず相手の背後に入れるように(?)すると・・・。
もし、このまま梁ちゃんが、左足払いをしただけだとすれば、相手の女は後頭部からマットに沈み、後頭部を強打したことだろう。しかし、梁ちゃんが、すかさず右足払い(のような)相手が頭を打たないようにクッションになるように自分のふくらはぎを差し込んだことによって、結果として、相手の女は梁ちゃんの右ふくらはぎが枕になるような感じで、地面への後頭部からの激突を免れたのだった。
しかも、倒れる相手が梁ちゃんのふくらはぎで枕になっているとき、梁ちゃんは、一切、バランスを崩さず、中腰になった状態で相手の頭を包み込むように膝だけまげて(この時も不自然なポーズではなく、蟷螂拳の構えみたいに)相手の頭を支えていたんだ。そしてスッと立ち上がると、相手の女も、それに合わせて(自然と)立ち上がった。いや、むしろ立ち上がらせられていた。
この振る舞いっていうか、勝つだけでなく。同時に相手も救うっていうか、この機転と、その技術。周囲は圧巻されていた。また中国武術の奥の深さと神髄を目の当たりにし、まるで映画みたいな一幕を見たのだった。
試合は終わった。梁ちゃんの勝ち。
俺は(すげぇ・・・)って目が点になってた。翌日、俺は梁ちゃんに、「なぜ最初から蟷螂拳出さなかったの?」と聞いたら、「最初からだしてたら、おー ってならないじゃん。カッコよさを求めたのw 武術アイドルだからw」等といっていた。 (すげー余裕www)って思った。
また、「最後の相手の後頭部を強打しないように、足で助けてあげたのは?」と聞くと、「あれは偶然w なんかうまくいっただけw」と答えていた。
ともかく、俺達は翌日の日曜、武道会で撮影した写真をブログにUPする為に、俺のアパートで会う事になった。
俺は武道会お疲れさん。の意味もこめ、梁ちゃんの好きな杏露酒を買っていた。そして梁ちゃんには、あらかじめひとつの注文をしており、それは武道会で着用した、白い生地に赤の鳳凰の刺繍がはいった武術着を持ってきてもらうっていう事。
なぜなら、武道会の撮影は全部、客席からの撮影になるので、見るほうからすれば、遠すぎて誰だかわかりずらい。そこで、ちゃんと同じ武術着を着て、ピースとかしている写真とかあったほうがいいに決まっている。そのために武術着を用意してもらっていた。
俺達はいつもの俺の部屋の一角の撮影所にガラステーブルを置き、杏露酒や紹興酒で乾杯をした。そして以前同様に、梁ちゃんは俺の別の部屋で武術着に着替え、(その時は覗きはしなかった)適当に酒のみながら、軽く撮影しましょうか。みたいな雰囲気になった。
そのままほろ酔い気分で写真撮影をしているときに、「前、裸なったんだよねー。あれ誰にも見せてないよね?」みたいな会話になった。
そして、「見せてないよw」と言った後、俺は「梁ちゃんは男の人の前で裸になるのとか、初めてだから緊張したんじゃない?」と聞くと、梁ちゃんは「いあ、そういう訳でもないけど」と言ってきたのだった。
俺は「え。どういうこと?」と聞いた。
なぜなら、俺は燕ちゃんの影響で、武術学校=全寮制=男子禁制=付き合った経験もない=処女 くらいに、そんな短絡的思考っていうか、そういう風に、「勝手に決めつけていた」
梁ちゃんは「まぁまぁw 過去の話だから聞かなくてもww」というのだが、俺はどうしても気になった。「いあ、別に尋問してる訳じゃないからさw 裸になるってどんな瞬間なのかなw って思ってw」と、やわらげて聞くと、答えはあっさりだった。
「うーん、そりゃ彼氏もいるときあったよ。たまたま今はいないけど。」というのである。俺は「そうなんだ。」と、なぜかショックを隠せなかった。(無理やり酒を飲んでごまかしたが)
そして俺は余計な事を聞いた。「じゃ、男性経験とかあったんだw(笑)」 というと、
「うんw」と平然と答えるのである。というか、冷静に考えたらそうだろうよ。通ってる武術学校は別に、武門(厳しい寺クラスの道場)じゃないし、出入り自由の服装自由。そんな自由な校風の中なんだから、そりゃこれだけ可愛いかったら彼氏ができないというほうが不自然。
俺はまた、余計な事を聞いた。「梁ちゃんモテるだろうからなー 今までに結構な数の男を振ってきたんじゃない?ww」と。
梁ちゃんは「うーん、付き合った人は今まで6人くらいかなー」と、これもまた平然というのである。
俺は酒も進んでいた事もあって、また心の動揺をなんでもいいから吹き飛ばしたいみたいな心境になっていた。つまり、ちょっとヤケクソ入ってた。
そんなモードの俺は「じゃ、6本のチンチンが入ったんだwww」と俺は相手の出方を見てみた。すると梁ちゃんは「まぁそういう事になるよねぇ」というのである。すると聞いてもいないのに、梁ちゃんのほうから、「口だったらそれよりも多くあるよ」と。梁ちゃんも酔っていた。
俺は「その意味は・・?」と聞くと、「フェラだったら余裕で10は超えるwww」というのである。俺は「え・・どんな状況でそんな事する状況になるの?」と、もう中国語の文法が無茶苦茶になっていた。
梁ちゃんは「ナンパされたりとかwww けっこうカッコい人だったら呑み入ったりした帰りについついww」等と、平然というのである。
これも無理はない。俺がやった事だって、これもナンパ。そして家に連れ込んで、裸の写真を撮っている。
さらに驚いたのが「10超えるってことは20はいかないってこと?ww」と聞いたその答えが、「20くらい・・かな?w」等と平然というのであった。
俺は中国の性事情も知ったような感じになった。中国では、飲み屋が出会いの場となっており、
そこで息の合った男女は、いろんな場所に散らばって性行為をするそうだった。(むしろ、夜のハルビンで俺が一番やっていた。)
いや、街中にどこでも使用済みコンドームが落ちているこの町に住んでいる俺は、既に中国の性が乱れている事なんて知っていたんだ。ただ知らなかったのは、武術という聖域に住む女の子たちだけは、この中国の堕落した風習から除外されている。と、「勝手に思っていた」
梁ちゃんも、その中国の性文化に汚染された経歴の持ち主で、それから酒を飲んで俺達は中国の性事情について話し合った。
すると、中国では燕ちゃんも言った通り、「一人っ子政策」があるので、「妊娠」という、つまり避妊なしの本番行為には、(おそらく日本人以上に)神経をとがらせるらしい。
しかし、コンドーム等が最近では開発されているので、「じゃ、妊娠手前だったらいいじゃねーか」という理由で、むしろ一人っ子政策の反発や、中国共産党の思想統一に対する反発等で、余計に性が乱れているんだと推察された。(中国では、いちおうエロサイトは違法。なので中国のエロサイトは、基本的に海外のサーバーを利用している)
だからこそ、梁ちゃんも、妊娠の恐れのあるSEXはしたことがない。といっていた。つまり生はやったことがない。と。
そして、挿入といっても、それをさせるのは彼氏だけが対象となるし、その時は必ずゴムをつけていたとも言っていた。(ゴムは破れる恐れがあるという懸念は、中国も同じらしい。だからゴムがあるといっても彼氏以外にはやらせない)
が、しかし。120%妊娠の伴わない、フェラをすることや、多少、飲みの席でカラダを触らしたりする事においては、日本人よりはるかにルーズって言ったほうがいいのか。そんな中国の国民性を感じさせられた。
俺は「でもさ、そういってもカラダを乳繰り合ってるうちに興奮してきて、本番したい!みたいなのならない?ww」と聞いた。
それには「そういう時は、後ろの方に入れるw」と平然というのであった。
(ちょっと待て・・・・・><)と、俺はガラス細工が崩壊するような感じで、今まで梁ちゃんに描いていたイメージが壊れていってた。 冷静に聞いているふりをしながらも、心の動揺は隠せなかった。
俺は「アナル・・・?」とだけしか返事できなかった。ほろ酔い気分で顔を赤くした梁ちゃんは、「うん。どうしても入れたい。って聞かない人は、お尻でがまんw というか、お尻のほうが良かったりもするけどw」というのだ。
俺は「あれってさ、簡単に入るものじゃないんじゃ・・?」と聞くと、「よく知ってるねw ちょっとした器具が売ってるんだけど、けっこうそういうので自身で開拓している人多いw というか、私もその一部なのかもしれないがwww はははww 」と笑っていた。
燕ちゃんの事が思い出された。適度な大きさの器具で、いじくっているうちに、処女じゃなくなった。というくだり。
実際のとこ、中国では、器具をつかってどうこう。なんて、今更話にあげるほどの事でもないんだと思った。これは想像にしか過ぎないが、梁ちゃんも寮生活の中で、退屈をした時など、その器具とやらを買って、いじくっていたんだと思う。ただその場所がちょっと違っていただけ。
そう思うしかなかった。そうとしか思えなかった。ただ、このかわいい顔から、出てくる言葉の生々しさに俺は驚愕していたんだ。前のあの清純なイメージはなんだったのか。。。酒を飲んだらここまで変わるのか。いや、前も酒を飲んでいたからこそ、全裸写真にまで進展したんじゃないか。もう頭の整理が難しかった。
そして俺は、その時まで人生で一度たりとも「アナル」などという部位に興味を抱くことはなかった。
しかし、その瞬間、(アナルか・・・)と俺は、未知の部位にいたいし、異常なまでに強い関心を抱いている俺が存在していたんだ。
つづく。
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