タクシーを拾って乗ると、武威は「パークハイアット」と一言告げました。
「どういうこと?」
と私が聞くと
「もう大丈夫」
とだけ答えました。
パークハイアットに着くと、スイートに案内されました。
「5日間取ってある。俺もここで仕事する。るかは5日間休め」
「お店が良いと言うか…」
「良いと言う。休め」
そして少し、イライラしたように何か中国語でつぶやくと、私に
「シャワー浴びてこい」
と言いました。
今までの優しい武威とは違い、明らかに苛立ちが見えました。
そして、私を見ず煙草を吸う武威の横顔が、ゾッとするほど無表情だったことを今でもよく覚えています。
それでも、シャワーを浴びて部屋に戻ると、武威はいつもの優しい武威に戻っていました。
「俺もシャワー行ってくる」
そう言って彼はシャワーを浴びに行きました。
彼はシャワーから戻ると、私にベッドに腰掛けるように言いました。
言うとおりにすると、彼も隣に座り、私の頬をそっと撫でました。
ザラザラした手。節くれだった指。私は初めて武威に抱かれたときから、この手が大好きでした。
「我爱你,别想离开我。这辈子你都是我的,谁都别想碰你。」
「え?」
「这辈子你都是我的。」
「わかんないよ」
「这辈子…」
「武威、なんて言ってるの?」
武威は小さくため息をついて、私を見つめてたどたどしく言いました。
「るか、愛してる。俺から離れるなんて考えるな…这辈子…一生、この人生、お前、るかは俺のものだ。誰にも触らせるな」
目を見たまま、ゆっくりと日本語で言われ、頭の中が痺れるような高揚感が私を支配していきました。
「武威さん、私も、武威さんの言葉で伝えます。我爱你。」
「真的吗?」
「私は武威さんに絶対嘘をつきません。」
その日からの5日間、私たちは何度も身体を重ねて、お互いを確かめ合いました。
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