授業が終わって、ユウコさんに改めてお礼をすると、礼なんていいよと、その意外な気作さが嬉しくて、胸がいっぱいになっていました。
ユウコさんは、美術専門のモデルとしてお仕事をしていて、その日は急遽代役を頼まれて、予備校に派遣されたそうです。
その帰り道、私の他愛もない話を聞いてくれて、初対面なのに気付いたら何でも話していました。
私の…当時付き合っていた彼はゲイでした。
最初から分かっていたのではなく、好きになってから、男性しか愛せないと告白され、それでも彼の側に居たかった私は、彼を受け入れて、肉体関係を持たない、プラトニックで精神的な支えとして付き合っていました。
初対面のユウコさんに、そんな事まで話していて、でもこの人なら大丈夫だと思える、不思議な安心感がありました。
それから連絡先を交換して、時々会うようになりました。大学受験のため、平日は地元で過ごして、週末は東京の親戚の家で厄介になりながら予備校に通う日々が続いていました。
授業の後、ユウコさんはバイクで迎えにやってきて、東京の街中を案内してくれたり、素敵なお店や美味しいレストラン、美術館や劇場、色々な場所に連れて行ってくれました。
華やかな都会を満喫しながら、少しだけ大人の世界に足を踏み入れて、新しい感性が芽生える新鮮な日々でした。
ユウコさんは、とても優しくて、私を妹の様に可愛いがってくれました。17歳の私、27歳の彼女と、歳が離れていても、お互いに感性が合っていました。
もうこの頃には、ゲイの彼と会うよりも、ユウコさんと一緒にいる時間が多くなっていたように思います。
ある時、ユウコさんから
「女に興味ある?」
と聞かれて、心を見透かされたようで、ドキドキしてしまいました。
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