手紙の内容は簡単だった。
「以前から何度かお目にかかり気になっていました。変な客かと思われるかもしれませんがよければ、、ご連絡頂けますか?どこか景色のいい山のカフェでランチでもいきませんか?もし難しい場合は無視して下さい。私も変に客である立場を利用して付き纏ったりいたしませんので。
氏名、住所、連絡先、メールアドレス、会社名、役職
であった。
2日後、返事はメールに届いていた。
「お手紙拝見しました。ありがとうございます。以前になんどかお店で会話したのを覚えていますよ。
山のカフェですか、いいですね。私の連絡先は以下の通りです」
志保 メールアドレス
あとから聞いたところ、俺が会社名、役職を書いたのが好印象だと言っていた。単に俺は、「俺は相手の勤め先や名前まで知っている。俺だけ隠すのはフェアではない」と思っただけなのだが。
デート当日、俺はあるいみ覚悟を決めていた。気取る必要なんてないと。
本来なら初デートくらいレンタカーを借りてでも車を出すべきだと思ったがそのような無理を相手に見破られると相手にとっての負担になるのではないか?と思ったのだ。
ありりのままの姿で玉砕する。それだけでいい。だからこそ俺はいちおう、新品のヘルメットだけ購入して普段通り125ccのバイクで待ち合わせ場所へと向かった。
山のカフェに行きましょう。
決まっていたのはこれだけ。
そして待ち合わせ場所で待機していると志保さんが駅から降りてきた。
流石にスーパーにいる時のような貧相な格好ではなく、メイクはほどほど。ベージュのスカンツ、長袖のシャツという姿ではあったがいくらファッションに疎い俺といえど(スカンツか、、時代遅れだな、、)と思った。
また志保さんはバイクでのデートであることは想定していなかったらしく、そこは一か八かの博打には勝ったと言っても良かった。志保さんは「バイク乗るのなんて10年以上ぶりです!」ととても喜んでくれていた。
俺たちはヘルメットを装着し、普段は畳んでいる状態が当たり前であった左右の後部ステップをカシャン、カシャンと準備すると、、目当ての山頂を目指して走り出して行ったんだ。
まこと不思議な感覚であった。
志保さん。スーパー勤務という事しかしらない。いや初デートなんてこんなものか?とりあえず俺は今、お目当ての方を後ろに乗せて走っているんだ。不思議ではあるが、(絶対に事故をしてはならない、、!)と普段より明らかに遅い速度で山をあがっていった。
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