うわ・・・・!!!!
ギャルさんを一見し、私は驚愕しました。首のない女ともうしましても、怪談師の稲川座長がいうように、はっきりと見える訳ではありません。邪悪なオーラというか、そういった類のものでして、ただ「本来あるべき首がない」というオーラ、いいかえれば「念」のようなものをバキバキと伝えてくるモノと一緒に現れたのです。
一方、ギャルさんは元坊主の私でも、(ちょっとこれは古くないか?)と思わせるに十分な、デニム生地のミニスカートにヨレヨレして肩が片方見えているトレーナのようなもの、自宅で休んでいる時のような、楽な恰好で現れたのです。
ともかく、私は家に案内し、フローリングの席に座布団をしき、そこに座っていただきました。そして相談内容を聞いたところ。。。。(やっぱりこのパターンか・・・)と思う相談内容であったのです。
まず、これら憑き物がいる場合の典型的パターン、睡眠時の呼吸困難、耳鳴り、幽体離脱、そして訳の分からぬ得体の知れぬ者が部屋の中にいる、あるいは寝ている自分の上に座っている。というものでした。
そして、仕事の時等の、公的な状況環境になれば、普段の「仕事モードの私」になるが、仕事が終わり、帰宅すれば、ボー・・・として、虚無的な生活をしている。との事でした。
そして、この手のパターンにある人が口をそろえて言う、「寝不足とかではないんです」という、寝ているときにあれだけ悪霊に邪魔されているにも関わらず、睡眠はとれているという主張。
私はある程度の問診をした後、重要なこの質問も問いかけてみました。「性欲はどうですか?」と。
この質問にはなにかやましい裏がある訳ではありません。経験のある方もおられるかもしれませんが、病院等の問診アンケートに「性欲はどうですか」ある・ない・ときどき といったものにお応えした方もいるかもしれません。
こういった憑依の関係にも性欲は大きく関係しており、かならず伺いを立てなければならない質問項目の一つでもあるのです。
するとギャルさんは少し恥ずかしそうな顔をした後、坊主の前で恥ずかしがってもせん無き事であると思ったのか、またあるいは性欲の件も含めての相談なのであろうと思います。
「いやというほど、性欲が沸いてくるのです・・」とここだけは敬語で答えてきました。
ここまで話してしまいますと、サラリーマンの私と同僚のギャルさんという仕事上の関係ではなく、除霊する者と除霊される者という関係がなりたってしまいました。私はこうはなりたくなかったので頑なに拒否していた現実が迫ってしまい、結果、「除霊」するほかない状況に立たされてしまったのです。
ただこのパターンの除霊は、「荒治療」が必要な除霊でした。
まずこの首のない悪霊は、「羨望」でもってギャルさんに憑依しているのは間違いありませんでした。きっとギャルさんの中に、この悪霊が羨み、妬み、憧れする性質を備えているのでしょう。と同時に、ギャルさんは憑依されやすい性質もあるのでしょう。そんな悪霊をどこかのタイミングでギャルさんは引き寄せてしまい、そこから徐々に徐々に蝕まれていったと考えられます。
ただ人間は悪霊に憑りつかれても、一般的には悪霊は足から入り、膝、ふくらはぎ、ふともも、腰、背中、胸、首肩、頭と上がっていって、最終的には抜けていってしまいます。ただその通過経路が痛くなったりするのはよくあることです。
ですが、このギャルさんの悪霊は、ギャルさんの性質とよほど相性がいいのでしょうか、除霊しなければいつまでたっても憑りついたままである。という事だけは容易に理解できたのです。
この定住するタイプの悪霊を除くには、荒治療が必要であり、このギャルさんがとるべく効果的な荒治療というのは・・・「まず始めに頭から足の先まで、一切余すことなく沐浴し清め、それから仏衣を着用し、それから悪霊が自ら消え去るまで、風呂にも入らず、服も着替えず、一つの空間で生活をする」ということでした。
なぜこんなバカげた方法が・・とおもう方もいるかもしれません。私もこの治療法が、どういう因果をたどって悪霊退散につながるのかは存じ上げません。しかし、これが「仕来り」なのです。
私はその方法しか存じ上げません。との旨をギャルさんに伝えました。するとギャルさんは、「悪霊が10日間出ていかなければ、10日間、仕事を休まないといけないということ?」と聞いてこられたので、「そうなりますね」と答えました。
そして、この秘伝の方法をあと少しだけ解説しますと、この女の霊が生身の女に憑りつく典型的パターン(今回のような羨望)というのは、生身の女が「清潔であり、美しい」からと考えられています。
その生身の女から「清潔さ、美しさ」と取り除き、悪霊の好む性質から大きく外れる事が目的なのです。
ギャルさんに説明した内容は、特別な性癖を持つ方にはマニアックでよろしい。となるかもしれませんが、筆者は真面目にこう説明しました。
1:小水をしてもテッシュで清拭しない(本来は大便の時もです。昨今では病原菌等の衛生問題もありますので敬遠されますが)
2:当然の如くシャワーもはいらない。汗もふかない(エアコンを入れていれば汗をかくことも少ないと思いますが)
3:服を着替えない。むろん下着も。
4:部屋を出ない
5:娯楽をしない
6:思う存分、卑猥な事を考える(この意味は7にあります)
7:自慰行為をしない(この体は欲求はあっても、その欲求をかなえる体ではないということを顕すすため)
8:食事は肉、魚を除く、菜のみ。
以上7項目でした。この7項目をすべて逆に考えてみてください。それは羨望されるギャルさんが、常にやっていたことなのです。
1:いつも清潔
2:シャワーは1日2回
3:当然の如く、服は着替えてなおオシャレ
4:部屋どころか、色々なところに出歩く
5:様々な遊びをしっている
6:卑猥な事を考えるまでもなく、欲求を満たす事ができる
7;自慰行為もそうだが、その気になれば性行為を可能とするであろう
8:食事も自由
「この荒治療をやれますか?」
と私は聞きました。するとギャルさんは、「えーと、、3連休がいついつで、、その前後に有給つかって・・・7日間連続ならできます。」と答えたのです。
丸丸「初めにいっておきますが、7日間で出ていくという保証はありませんよ、3日間かもしれないし、30日間やっても出ていかないかもしれません」
ギャルさん「でも、なにかやってみないと始まらないないと思うんです。」
丸丸「わかりました。じゃ、準備が出来たら言ってください。幸い、私の部屋はこれといった娯楽もありませんし、仏衣なども用意できますので、この場所を提供します」
ギャルさん「ありがとうございます。でも、私がここに泊まってる間、丸丸さんはどうするのですか?」
丸丸「ふつうに生活しますよ。ここで。だってギャルさんは籠っているだけなので私の生活にはさほど不便はしませんから」
ギャルさん「わかりました」
この私の善意が、後になって悪魔にたぶらかされていた。という事になっていくのです。私はこの時気取っていましたが、私もまだまだ世知をしりませんでした。
女が本気で私を誘ってくる、誘惑してくる。という、私にとっても今までに経験したことのない試練に立たされることとなり、、そして還俗して仏パワーが減っていた私は見事、魔に食い破られてしまったのです。
還俗してからも続けている朝の勤行があるので、今日は床にはいります。
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