慌ただしい1日だった。朝の10時くらいから入信式が行われ、12時くらいに教会をあげての30名くらいの老人や中年との歓迎の食事会(どうやら今時の若者はこういう集まりに興味ないのか少なかった)、そして家に帰ってから昼寝をし、夕方になってからは、今度は若者同士の集まりという事で、小さなレストランに集まり、そこで「宴会」となった。
(酒も普通に出たんだけど)
そもそも、この若者の宴会といっても、海外をイメージするような、ダンスあり、音楽ありのはっちゃけた宴会などではなく、どらかといえば、この宗教に真面目な一部の若者たちが主体の、上品な立食パーティーのようなものだった。
10代後半から20代前半くらいの男女15名くらいの集まりであり、男も女も、おそらく俺の勝手な想像だが、ニューヨークとか、シカゴ等の映画でみるような黄色いバスが送迎にくるアメリカの学校に行ったら、男はパシリ、女はいじめられっ娘になっているような、影の暗い男女だった。(といっても、そこは外国人なので、金髪で体は小柄なかわいらしい子は多かった)
その立食パーティーみたいなのは18時くらいから始まって、結局、21時くらいまでその場にいたのだが、俺たち二人は、「緊張」というものがあって、それをほぐそうと、飲みなれない酒を粋がって飲みまくり、最後のほうは酩酊状態となっていた。相棒は酔っぱらいすぎて、この入信記念の集まりに感極まって泣いたりしていた。(あとで「本当に感謝してたのか?」と聞いたら、「悪酔いしすぎて変なテンションなってだだけ」と言ってた)
結局、夜の21:30くらいになって、ちらほら。と帰る男女が出てきた中、宗教色がもたらす優しさというのか、レストランで酩酊し、ぐったりしている俺たちを介抱してくれたのは、金髪ストーレートヘアーにメガネをかけている小柄なKという女の子と、黒髪ショートボブで、同じく小柄なBという(金髪=K 黒髪=Bと思ってくれ)2人の女の子だった。
俺にはKが付き添い、相棒にはBが付き添うという感じだった。
2名の女の子の髪型と体躯はすでに述べたとおりだが、服装に関してはKはピチピチの胸の形が浮き上がるピンクのTシャツに、下は黒のスキニージーンズだった。Bは、ベージュのだらーんとした、片方の肩からブラ線が見える服に、デニムのショーパンという姿だった。なので服装だけで言えば、真面目さで言えばKの方が上で、Bのほうが、まだちょっと遊んでいるという感じに見えた。
結局、店に最後まで残ったのは俺たち4人となり、そのまま俺たちはBの運転する車で、俺たちが止まっているホストファミリーの家の近くまで送ってくれることになったのだが、実は俺たちはもう、この段階で日本への帰国3日前となっており、この介抱してくれた2人とは、おそらく、俺たちが改めてこの場に来ない限り、もう二度と会えないという今生の別れのタイミングでもあったのだった。
年頃も年頃で、勢いもあった(酒も含め)俺たちは、「この子ら、、落とせそうじゃない?」と日本語で悪意ある相談をし、そして「二人っきりで話したいとかいって、車組と、散歩組に分かれてみるというのはどう?」と相談しあった。
そして相棒と「それいいな」と合意し、俺たちは英語で「もう君たちと話せるのは最後の夜になるかもしれない・・。」と切り出し、俺たちは二人っきりで話したいことがある。等と彼女らをたぶらかし、計画通りに俺は車組、相棒は散歩組に分かれるという段階まで持って行ったのだった。
彼女達は「うーん、そんな深刻な話・・? オッケイ・・じゃ、私と彼(相棒)は外を歩きましょうか」と運転席に座るBが言い、そして車から出ていったのだった。俺とKは後部座席に残されたままだった。田園風景が見える大きなフィールドの中、ポツンとさみしくたっている電灯の下での出来事だった。
※元投稿はこちら >>