その子・・・・と出会ったのはA寺での事でした。
俺はA寺での読経の後、A寺の朱印をもらい、次の目的地のB寺までの道のりの事を考えていました。遍路スタートから3日目。正直・・足が痛かったのです。(ここからバスを使うか・・・)
資金が10万円しかないからなるべく徒歩でと決めてはいたが、A寺からB寺までは近道である舗装されていない山道を歩くか、それとも距離は稼ぐが大きく海岸線を迂回するかの2つしかないという選択肢に立たされていたのです。
(さてどうするか。)と考えていると、今しがた読経が終わり、ご朱印をもらって、まさに今の俺と同じように(さてどうしようかな)と悩んでいる女の子が目に入ったのですよ。
遍路旅の独特の空気というか、都会の繁華街では見知らぬ相手と目があったので「どうもwご機嫌いかが?」なんて言えるハズもないけれど、この時の俺は「山越えか海を迂回するか迷いどころですよねw」と気軽に声をかけている俺がいました。
相手の子も、こういった遍路旅だからこそなんだと思います。「ええ~、足痛いしバス使おうかなーって・・。でもバス停まで遠いし・・・w」と返事してくれたのです。意外とフレンドリーな反応でした。
この時、見た感じ大学生か何かだと思いました。素朴な感じで真面目な子。いうなれば売れ始める前のAKBの指原って感じかな。単品でみたら普通に可愛いけれど、本気で可愛い子ばかりの集団にいたらあまり目立たなくなる存在。そんな感じの子でした。
旅に出て気が大きくなっているせいか、俺はこう続けたのです。「山越えするんだったら一緒に行きます?俺は山越えルート選ぼうと思ってるんで」と言ってみた。きっと彼女の前で男らしいところを見せたかったのかもしれない。
彼女「そうですねー。イノシシとか出ないですかね?」
俺「確かに、ここまでは舗装された道ばかりだったもんね。でも、イノシシ出るなら他の人もこの道選ばないと思うし・・大丈夫なんじゃない?」
彼女「じゃ、お供させて頂きます。迂回ルートはあまり取りたくないので・・w」
俺「どっち選んでも結局しんどいなら早く目的地に着くほうがいいしねw」
最初はこんなノリでした。俺も、このA寺に来る前までに、沢山の人に声を掛けられたし、他の人に声をかける事もありました。ただ今回は年齢が割と近くて、そして一人旅の女の子であったというだけだったのです。それが、この先に数奇な縁になっていくとは・・・。この時は夢にも思わなかったのです。
それから俺は、この彼女こと「吉村みこと」(22)と一緒に先を進む事になったのです。
ここからの話・・皆さんにどこまで伝えれるか分かりませんが、ひとつのテーマを基に話していこうと思います。それは「フェロモン」って言うのか。それとも「色気」ともいいましょうか。
このお遍路の旅っていうのは見た感じ、信心深い人達が真面目に取り組む厳粛な修行っていうイメージを持っておられる方もいると思います。はい。もちろん俺もそう思っていました。3日目までは。
それが、この、みことチャンというオンナノコと一緒に寺巡りをするような流れになっていき、その持っていた厳粛な修行というイメージはすぐに崩壊してしまう事になったのです。
単刀直入に言いますと、実際の歩きでの遍路道って汗をムンムンさせて雫を滴り落としながら進めていく行為なんですよね。(季節は5月末でした)クーラーガンガンの車に居ながら札所から札所へと快適に進んでいくのなら話は別かもしれませんけど。
では本編スタート。
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