それからの私は、浅ましいことに毎日貪るようにあの日の思い出を反芻しながら過ごしました。
一方で女狐のような周到さでタイミングを見計らい、家庭では会食だの残業だのありとあらゆる嘘を並べ、彼にはいかにも何でもないふうを装って度々食事に誘い出し、そのまま彼の許しさえ出れば、彼の家に上がりこむようになりました。
そして必ず何度も新しい自分に邂逅し、はしたなく漏らしながら幾度となく絶頂し、事後はかならず卑屈にもこんな年増の私が若い彼の時間を奪ったことを悔やむのでした。平常時はいつものようにとてつもなく甘く優しい彼が、ベッドの上ではいつも乳首をきつく捻りあげ、クリトリスを直に吸い上げ、その上私がまるで本当の淫婦であるかのように言葉で追い込んでくれるのです。
彼は私のことを本当はドMで淫乱で変態なんだと繰り返し言い聞かせました。何をそんな、私の何を知って…と最初こそ思いましたが、不思議なものでそういわれて抱かれているうち、40年以上かけて身にまとってきたものが少しずつボロボロと離れていって、だんだん私の本質は彼の言ったような女なんだと思えてきてしまうのです。
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