旅行から帰ってきた僕は数週間後、会社で上司に呼び出されました。
突然僕は言われました。
「ユミ君の引き継ぎどうする予定だ?」
僕には意味がさっぱり分かりませんでした。
「すみません。仰る意味がよく理解できないのですが…」と言うと
なんだ聞いてないのか?お前のチームなのに。
「ユミ君、来月一杯で寿退社するそうだ。
あとの引き継ぎなんかはお前に任せるからよろしく頼む。あ~それからこの前の~…
僕は意味がわからずに何を言ってるのかもわからずに、とりあえず、
「はい…」
とだけ言ったと思います。
正直あまりのショックでよく覚えていません。
僕は嘘だろ?と思いながらユミにLINEで
(時間は取らせないから今夜いつもの所に来て)
とだけ入れました。
待ち合わせ場所にユミが来て僕の車に乗り込みました。
「ユミ、何かオレに言う事ないか?」
と聞きました。
ユミは「課長に退職すること言いました…黙っててごめんなさい…」
僕は「何で辞めるんだよ!相談も無しに!」
と言うと
ユミ「悩んだ結果です…相談したら絶対に止められるの分かってたからごめんなさい…」
僕「そうかもしれないけどけど理由は!?」
ユミ「結婚するから辞めます…本当にごめんなさい…」
僕「仕事は好きだし続けたいって言ってただろ!?
それに辞めたらこんな条件の会社になんか再就職出来ないぞ!」
ユミ「もう決めた事だし、専業主婦してみたいなって思って…」
僕「意味が分からない!そんなにコロコロ気持ちなんて変わらないだろ普通!
そんなにオレにもう会いたくないのか?
嫌いになったのか?だったらそう言えよ!」
ユミは泣き出しました。
僕「泣いてたら何も分からないだろ…
旦那に辞めろって言われたのか?
頼むから何とか言ってくれよ…」
ユミ
「私の気持ち何も知らないくせに…いいもん…」
と言いユミは車を降りました。
待てと言う僕を無視してユミは車に乗り込みエンジンをかけたので、僕は車から降りて窓をバンバン叩きましたがそのままユミは車を走らせ行ってしまいました。
追いかけようと思いましたが、結局、僕は追いかけませんでした。
家に帰りソファーでボー然としていました。
ユミを泣かせてしまった…
旅行はすごく楽しんでたのに、最近なんだか元気がないとは思っていたけど…ユミはオレのこと嫌いになったのか?
僕はユミにラインを送りました。
さっきは怒鳴って悪かった。もう一度話がしたい。
既読のままでした。
翌日ユミは会社を休みました。僕ではなく課長に体調不良と電話したそうです。
時期が時期だけに3日は休ませる事になりました。
僕は仕事中、ずっと考えていました。
辞める理由…
普通に考えたら当然結婚が理由だけど、すぐに辞める必要は全くないよな…何かオレに原因が?
僕は、ユミが以前言っていた言葉を思い出しました。
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「吉田さんに悪いし…吉田さんもいい人見つけないと…」
「結婚もした後も吉田さんと会ってたら…彼の事、心から愛せないです…」
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僕はバカでした
ユミは入籍後に僕とプライベートで会わなくても、僕と同じ会社にいるだけで彼を愛せなくなるかもしれない…
ユミが会社にいる限り僕は口に出さなくても、心の中ではユミを求めてしまう…
そうユミは分かっていたのか…
だから入籍と同時に辞めようと…
僕はユミに、LINEを入れました。
体調は大丈夫か?
ユミの気持ち何も考えずに怒鳴ってごめん。
オレの為にも、彼の為にも会社を辞める必要はないと思う。お願いだから話を聞いて欲しい。
ようやく返信が有りました。
相談できずにごめんなさい。
吉田さんの事嫌いになるはず有りません…
でも色々考えて辞める事にしました。
本当にごめんなさい…
僕は今からいつもの場所で待ってる。
とだけLINEを入れて、車を飛ばしました。
既読のままでしたが、ユミは来てくれました。
ユミが車に乗り込むと僕は全て話しました。
僕が考えていたユミが辞める理由…
ユミが僕の事を気遣って辞めようとしている事。
ユミが彼の事だけを想う為には僕がいる会社には行けないと思っている事。
僕は言いました。
オレの事は本当に気にしなくていい
何も強要もしないし、何も望まない。
仕事以外の言葉も交わさなくてもいい。
ユミが彼氏や僕の為に会社まで辞める必要は全くない。
ユミは聞きながら泣いていました。
そして泣きながら言いました。
「絶対に無理です…
同じ会社に居ると、私は口に出さなくても、会いたいのを我慢しているだけです。
吉田さんにも、口に出させずに我慢させるだけです…」
「だったら我慢しなくてもいいよ…」
と僕は言いました。
「私が会社にいる限り、多分ずっと続いてしまいます。
彼を一生騙し続けるなんて出来ません。
何も悪くない大好きな彼を、もう十分すぎる程、裏切ってきました…」
僕は何も言えませんでした。
ユミは「それに…もう妻になるんですから…
もう…落ち着かないと…」と言いました。
僕は「だったらオレが異動願い出すよ。
オレは1人だし、どこでもやっていける」
ユミ「私、子供好きだから、子供欲しいんです。
子供が出来たらどうせ辞めますから…。吉田さんは今の部署に必要な人です。異動なんか簡単に出来ませんよ」
僕は「でも続けたい仕事を今すぐに辞めなくても…」
と言いましたが
ユミは笑顔で
「もう…決めた事ですからw
一生懸命仕事頑張ってきたんで、ゆっくりさせて下さいw」とユミは言いました。
僕にはどうする事も出来ませんでした。
結婚しても彼の事は気にせず会おう!とも言えませんでした。
子供できるまでは会社にいてくれ!とも言えませんでした。
会社でSEXしたり…
楽しい旅行に行ったり…
ユミに退職を決意するきっかけになったのかも…
入籍後も会ってくれるようにと考えて、してきた事は全て逆効果だったのかもしれませんでした。
ユミは有給消化をして9月の下旬に退職し、10月頭の誕生日に籍を入れる予定でした。
そして段々とユミが退職する日が近づいて来ました。
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