6月下旬。
この地方でも梅雨入宣言がなされ、雨が続いていた頃です。
トモミは休日で僕の部屋に来ていました。
その日も夕飯の準備をして僕のアルバイトからの帰宅を待っていてくれました。もう22時を過ぎているというのにトモミもそれを食べずに。
夕飯直後に最近、気になっていたことを聞きました。
「あのさ、最近なんでメール途中で途切れちゃうの?」
以前であれば、その日のメールはお互いに「おやすみ」で締めくくられていたのが、ここ数週間それが無いことが多くなったいました。トモミは僕のその問に
「ごめんね・・・どうしても、疲れて寝ちゃって(汗)」
これが、トモミが僕と付き合いだしてから、初めて僕に言った「疲れた」でした。
しかし、僕はそれをこの時に気にも止めませんでした。
トモミは続けます。
「そんなに、早く寝るつもりもないし、やす君ともっとギリギリまでメールしていたいから携帯開きながらベッドに横になるんだけど・・・つい寝ちゃって・・・ごめんね(汗)」
僕は、その理由を聞いても「言い訳」として、しか捉えることが出来ず少し腹を立てました。僕は言います。
「仕事で疲れているのは分かるんだけど、気持ちが薄れてきたんじゃないの?俺だって、人より多く履修して、講座行って、バイトして疲れてるよ。それはお互い様でしょ?」
僕は語気を強めていました。さらに続けます。
「トモミみたいに『疲れ』を『できない』理由にあげていたら、キリがなくなるよ。それよりも『できる』理由をあげていかないと本当に何もできなくなるよ」
そう言いました。
まだ、アルバイトの経験しかない学生のくせに、さも、それらしいことを自分にとって都合のいい『正論』をただ、ぶつけていただけでした。
そして、それは自分のことしか考えていない自分の『正当性』を説いているだけです。
後から思えば、こんなことを言わずになぜストレートに
「寂しい」
と言えなかったのか。そう思います。
そして、初めてトモミが発した「疲れた」の意味をもっと汲むべきでした。
そして、それは裏を返せば
「僕がトモミのことを分かろうとしていない。分かろうという努力もしていない」
ことの証明になります。
この時僕のすべきことは、生意気に学生が講釈たれて説教することじゃなくて、トモミのことを心配してまずはしっかりと話を聴くことでした。
ただ、トモミはそのことについて
「ごめんね・・・ちゃんと眠くなったら『おやすみ』ってメールするね・・・」
と謝りました。
僕はここにきて、やっと
「俺の方こそ、ゴメン。ちょっと言い過ぎた・・・ごめん。」
初めてしたトモミとの喧嘩。
その「心にかかる負荷の大きさ」をこの時、初めて感じました。
トモミは声をあげずに泣いています。
僕はまたもやトモミを泣かせてしまいました。
この涙を見てから、初めて思うのです。
「自分のことしか考えていなかった」
それにやっと気付いてから、泣くトモミを優しく抱きしめました。
トモミは僕の胸に顔を隠してから、さらに泣きました。
何度か「ごめんね」と呟いて、トモミの背中を擦りました。その度に僕の胸元にあるトモミの頭がコクンとします。
僕はそれが慰めになるのか分かりませんでしたが、学内講座を受け始めた理由を話しはじめました。
「俺さ、〇〇講座受け始めたでしょ?実はね、ただその職業に憧れている訳じゃなくてさ。」
胸元の頭が頷いています。
「うまくいくか分かんないけど・・・〇〇に就職すれば安定しているし高望みはできないけどさ、普通にトモミと暮らしていけると思ったからなんだ。」
また頭が頷きます。
「だから、その・・・今はちょっとトモミには我慢させちゃうことになるんだけど、それまで待っててほしい」
「・・・うん」
鼻の詰まった泣き声で返事が返ってきます。
「トモミも仕事大変だと思うけどさ・・・そうなれるように一緒に頑張っていきたい・・」
トモミは僕の腕を振りほどき、テーブルの下に置いてあったBOXティッシュから数枚取って、鼻をかんでから、またティッシュを手に取り今度は涙を拭きました。
トモミはそれらを終えると、「ふぅぅー」っと大きく深呼吸をしました。
とても明るく、そして穏やかに僕に言います。
「子ども作ろっか?」
僕はその突拍子もない申し出に驚きました。
「・・・えっ??」
「聞こえなかった?子ども作ろう」
「本気・・・?」
「こんなこと冗談で言えないでしょう(笑)」
トモミは泣いた後だから少し目を赤くしていますが、とても穏やかな表情です。
「トモミ・・・俺の話聞いてなかったの・・?(汗)」
「聞いてたよ」
「だったら・・・もう少し、そうできるようになるまで待っててほしいんだけど・・」
「やだ・・・私もう働いているんだし、きっと何とかなるよ!」
「だから・・・せめて俺が働くようになるまで待ってて・・って・・(汗)」
「あぁーあぁー、何か今の感じで結婚できてたらドラマになったのになぁ~~。逆プロポーズ失敗しちゃった・・・女に恥かかせたなぁ・・・(笑)」
「ふざけてるの・・・?」
「だから本気だってばぁ・・・インディアン嘘ツカナーイ」
「インディアンじゃないじゃん(汗)」
「もぉ・・待てばいいんでしょ!?待ちますよーだ・・・おばあちゃんになるまでには来てよ」
「いや、そんなに待たせないって!!」
「本当に?」
「うん、本当」
「嘘つかない?」
「つかないって!絶対に!!」
「誓いのキスを・・・(笑)」
そう言ってトモミはキスをせがんできて、僕は触れるだけのキスをして優しく応えました。
「これで、私はやす君に縛られちゃったなぁ~」
「縛られたって(汗)」
「今ので『契り』を結んだんだから、当たり前でしょ!!」
怒っているのか、喜んでいるのか少し判断に迷います。
僕が少し戸惑っているとトモミは
「ねぇ、えっちしよっか?」
とても「ポップ」に確かにそう言いました。その言葉にまた、少し戸惑っているとトモミはキスをしてきました。
今度は舌を入れたキスをしました。
呼吸ができないほど長く、優しく、お互いがお互いをすべて欲するような、そんなキスを。
僕達はどんな風に服を脱いだのかも分からない程にキスをしながら、裸になっていました。まだ、テーブルの上には茶碗や器が置かれたままです。
僕は裸になったトモミのおまんこにも「口にするように」キスをしました。呼吸が止まってしまうかもしれないと思うほどに息継ぎもせずに愛おしく愛おしくそこにもキスを続けます。
トモミもそれに応えるように声を出して僕を感じてくれています。
「ああっ・・やす君・・・んんんぅ・・・っああっっ・・・」
壁の薄い僕のアパートですが、もうそんなことはどうでも良かったです。
もうほとんど、言葉は必要ありません。トモミが欲しくて欲しくてたまりません。
「んあっ・・・ああっんんぅ・・・やす君・・・」
体勢を入れ替えてトモミが上になりました。
トモミの気持ちも「それ」から分かります。
乳首を舐める舌の動きからも、おちんちんを触る手からもトモミの「気持ち」が伝わってきます。
「ううっ・・・トモミっ・・あぁっ・・」
乳首を舐めていた舌は上半身の多くを這ってから、おちんちんに到達しました。
上半身をそうしたように、全体を同じように舐めてから裏筋をペロペロペロペロと愛おしそうにキスをします。
「あぁ・・トモミ・・・ああっ・・」
裏筋を舐めていた舌をペロっと亀頭を一周させてから、今度は口に含みます。
「チュッっ・・・ジュプぅ・・んぽっ・・じゅゅるぅ・・・」
「あああぅっ・・・ぁあっ・・んっう・・・うぅ・・」
僕はされながらも、ベッドの小物入れの辺りに手を伸ばして一箱12個入の3パック1000円程度の激安コンドームの箱を視線を送らずに一箱取り、それを顔の近くに置いて片手で取り出そうとします。
トモミはそれに気付いてフェラチオをやめ、その箱を手に取ってから部屋の向こう側へ放り投げました。
「ううん、今日はダメ・・・」
首を左右に2~3度振りながらそう言って僕に跨りました。
「んんっぅ・・・」
そう漏らして、トモミは僕と繋がりました。
「ああっぅ・・・はあーっ・・んんああっ・・」
トモミは声をあげながらも動きます。
僕はトモミに触れずにはいられなくなり、上体を起こします。
上になっているトモミにキスをねだります。それに応えるトモミ。
お互いの性器を擦り合わせるだけでは全然足らず、それを補うように舌までをも絡ませますが、それでもまだまだ足りそうにはありません。
ただ、この内から湧き上がる想いを伝えられない「もどかしさ」をどうにかしたくて、愛おしくお互いの体を触ります。
僕は繋がったままトモミをそのまま、後ろへ倒すように寝かせて正常位の形になり「伝わらない想いの分」激しく動きます。
「っあああ・・・んんぅーーやす君っ・・んあっ・・ああっ・・んっうぅ・・」
「トモミっ・・あっ・・はぁ・・」
「んんぅ・・もうっ・イクぅ・・イクぅぅう・・」
「俺もイクよ・・トモミ・・」
「ああぁぁっっ・・中に出してっ・・お願い・・中にきてっ・・」
「うぅぅ・・・イクよっ・・」
「ぁああっっーーイクぅ・・やす君・・イクぅぅぅーー」
僕はトモミのおまんこの中にそのすべてをはき出しました。
そのままトモミに覆い被さるようになって、また長い長いキスを交わしました。
それが終わって、トモミから抜こうとすると
「だめっ・・まだ抜かないで・・・」
その動きを僕が止めるとトモミは続けて言います。
「今日はこのまま寝ちゃお・・・」
「寝てるうちに抜けちゃうよ・・・?」
「それでもいいからぁ・・・」
テーブルにはまだ食器達が残されています。
こうして僕達は「契」を結んだ。
はずでした。
~続く~
※元投稿はこちら >>