部屋は、片付いていた。
「綺麗ですね」
「一人暮しが長いもので」
先輩は部屋のカーテンを閉めながら言った。
「ちょっとトイレ借りまーす」
トイレから出ると先輩は冷蔵庫を漁っていた。
「ツマミねーな」
「まだ飲みますか?」
「ん~少し醒めたから」
「別にいいですけど…」
「作るから適当に待ってて」
「先輩、料理も出来るんですか?」
「…お前わざと言ってるだろ」
「わざとじゃないですよ」
「自覚症状のない天然だな」
私は先輩から離れて部屋を眺めてみた。
そこに女性の気配はなくて安心した。
「手伝いましょうか?」
「いい、お前料理下手そうだから」
「何気に毒舌ですね」
「当たってるだろ?」
「当たりです」
「素直でいい子いい子」
先輩が茶化すのでキッチンを離れてソファーに座ってクッションを抱える。
ふと、玄関に置き去りにしてた紙袋を思い出して取りに行きソファーの横に置いた。
しばらくして、ローテーブルの上にオツマミが並べられた。
「じゃあ、改めて乾杯」
二人とも床に座り、リラックスムードで缶ビールを開けた。
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