バレたか。そう思っていると「ごめんなさい、もう1回言ってもらっていいですか…?」と高校時代からは考えられない優しい感じで言ってきた。相変わらず…いや高校時代には無かった大人の魅力までプラスされてより美人になった中野咲。何気ない清楚な今の一言で先輩達の心を掴んでしまった。久々の大当りだ、誰もがそう思っていた。しかし僕は違う。こんな一言で過去に受けた屈辱と怒りはおさまらない。少しめんどくさそうに僕はもう一度名前を言った。もうバレてもいい開き直っていた。すると中野咲は「あ…ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて…」と僕に謝ってきた。中野咲が僕に謝る…予想もしてない出来事に戸惑い優越感を感じた。バレなかったという安心感を忘れさせるほどだった。怒らせてしまったと気まずそうな中野咲。普通ならほったらかしだが中野咲の虜になってしまった先輩達は「何怒ってるんだよ!ごめんね咲チャンが可愛すぎてコイツ緊張してんだよ!な!」と気を使った。先輩が女に気を使うなんて、やっぱり中野咲は他の女と違う。そう思いながら僕は「ハイ」と言った。中野咲は「可愛いってそんな…でもよかった」と照れ笑いをした。認めたくないが、天使のような笑顔だった。続く。
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