2022/12/05 23:45:31
(PDUWsCRO)
>>続きです。
とりあえず車は置いて助けを求めることにした。
落ちてきた崖の高さは1メートル。
登れない高さじゃないけど、麓の町までが長かった。
ケータイもまだパカパカの時代。
山の中なんて電波は入らなかった。
しかも展望台まで車で順調に登って30分の道のりだった。
更に2人とも軽度ながら負傷している。
最初の20分くらいは誰が車が通りがからないか待っていた。
でもそこは田舎の山の上。
1台も通らなかった。
街灯だって展望台の駐車場にしかない。
悪い事に晩飯前で腹も減り始めていた時間帯。
もう帰るだけだったから飲み物も飲みかけのコーラのみ。
そしてミカは腰を抜かして歩けない。
と言うかショックで立とうにも足が震えてどうにもならなかった。
抱えて下るには厳しい。
とにかく展望台に戻るしかないと思い、ミカを抱えて登った。
たった2分くらいしか降ってないのに登るのは20分もかかった。
ようやく街灯が見えてきた。
展望台のベンチに腰掛け、とにかく冷静さを保った。
するとミカが突然泣き出した。
俺が事故ったのが悪いので、とにかく謝ったけど何か違うらしい。
「死んだらダメなの。今死んじゃダメなの~」
と言うばかり。
これの意味はずっと後にわかる。
とにかくなだめるために謝り倒し、肩を撫でてみたり、手を握って声をかけた。
次第に落ち着いてきたらしく、グズグスの泣き顔でコッチを見ながら
「なんかキャラが違うよ~」
とまた涙を流す。
必死に慰める様子が異様だったらしい。
「元々こんな奴なんだって!大学入ってキャラ変したんだよ!」
この暴露でミカが笑った。
ようやくボロボロの2人に和やかな空気が広がった。
そして何としても救援を呼ばなければ、死にはしないまでも衰弱してしまう。
初夏とは言え山はかなり冷えた。
ケータイを見ると1本だけ電波が立ってた。
「もしかしたら場所によって入りが良くなるかも!」
展望台に登ってグルっと一周電波を求めて回った。
町の方角が一番感度が良かった。
何とか電話が出来る2本になり、友達に連絡した。
繋がった時の感動は今でも忘れない。
状況を説明して消防にも連絡してもらって1時間後に助けに来てもらった。
救急車も来て念のために病院で精密検査をしてもらった。
2人とも大した事なかった。
何やかんやとサークルの顧問や先輩、親に叱られしばらく謹慎生活となった。
その間、電話とメールで頻繁にミカと連絡を取り合った。
お互い一人暮らしで、自炊や洗濯の苦労話をした。
そして謹慎明け、ミカと付き合う事になった。
自分でもおかしいと思ったらけど、ミカから告白してきた。
明らかに悪いのは俺だけど、ミカは自分が夜景を見たいと言ったのを負い目に感じており、それを責める事なく助けてくれた事に惚れたらしい。
そこからはお互いのアパートで泊まりあったりした。
ミカにとっても俺にとっても初めての彼氏彼女で、とにかくラブラブだった。
特にミカは好きが先行し過ぎて変態の域に達していた。