私はすぐに離婚の決断を出せず、私は仕事の残業を多く入れ、帰りに会社近くで一杯飲んで深夜に帰るという毎日だったので妻とはすれ違いの夫婦を送る様になっていました。
あの食堂にも完全に足が遠退く様になり、帰宅後に台所を見たら妻はずっと家で食べてる様子だったのでそれはそれで安心していました。
それから数カ月後、社用車で帰らなければならない日があったので一杯飲むことも出来ず、久しぶりに早い時間に家路に向かい、途中あの食堂の前を車で通った時、食堂に入っていく妻の姿を見ました。
一旦、自宅に帰ってから心配になった私はあの食堂へと車を走らせ、少し離れた所に車を止めて、妻がまだいるのかそっと覗きに行きました。
やはり妻はまだ食堂にいて、妻と同じテーブルはあの男子寮の四人と他にも何人かの男性がいました。
少し離れた所で、妻がひとりで出てくるのを祈りながら待っていると、期待を裏切る様に妻は、あの四人と他に二人、合計六人の男達と一緒に出てきました。
どうやら他の二人も四人と同じ会社であの寮の住人らしく、寮のある方向へとみんなで歩いて行きました。
妻も一緒にみんなに付いていきます。
前に聞いた妻のあの告白である程度は覚悟していた事ですが、やはりショッキングな現実でした。
四人が住んでいるあの男子寮の部屋に、一緒に入っていく妻の背中を見つめ、やっぱり離婚するしかないかのと思いました。
妻が入っ四人の部屋に、食堂から一緒に出てきたふたりが、別の部屋から出てきて向かいました。
その時、突然妻から私の携帯に電話が入りました。
あなた、まだ会社?
いや、まだ出先、これから会社に戻る…
咄嗟に私は妻に嘘を付きました。
そう、今日も遅くなる?
いや、今日はそんな遅くならないと思う
どうして?
何かあったんならこのまま直接帰ってもいい
いや、そうじゃないの…
今日、ちょっと会社の歓送迎会があってね
二次会でカラオケとか行くって言ってるからちょっとかなり遅くなりそうだから…
かなり言いづらそうに妻も私に嘘をつきました。
わかった
じゃあ先に寝てるよ
うん、そうして…
妻の電話を切って私は、
今夜は、四人だけじゃなく六人も相手するのかよ
妻のいる部屋に向かってそう吐き捨てると、唇を噛み締め車に戻りました。