夫も私もお盆休みなので、一昨日のお昼は少し贅沢して外食し、午後は腹ごなしを兼ねて一緒に庭木の剪定と芝刈りをしました。
真夏の作業ですから二人とも汗びっしょりで、終わるとすぐに車で市内の銭湯に出かけました。
昔ながらのお風呂屋さんで、番台がある脱衣場のセピア色の雰囲気、白いタイル張りの洗い場、浴槽の熱めのお湯に心身とも癒されます。
番台には年輩のご主人と女将さんが交代で座っていますが、市内に一軒しかない銭湯のせいでしょうか、お年寄りや私のようなオバサンだけでなく、刺青を入れた若い女性も結構利用しています。
お店の駐車場は満車で、夫は少し離れた場所にあるスーパーの駐車場に車を停めに行きました。
私は一足先にお店に入って、脱衣場にいた女将さんに二人分の代金を払いました。
メガネを外して(普段はコンタクトをしているのですが、お風呂屋さんに行くときはメガネです)服を脱いでいると、男湯と女湯を隔てる間仕切りの扉が開いて、ご主人が姿を現しました。
番台への上がり口は女湯側にあり、交代時間に丁度ぶつかったようです。
女将さんは番台に上がったご主人に「お二人分の代金を頂いてますからね」と伝えると、私に「どうぞごゆっくり」と言って出ていきました。
ブラを取りパンティを脱ぐと、私は番台の前に置かれた体重計に乗りました。
文字どおり素っ裸でタオルも手にしていないのに、体重計の針は52kgを指しています。
「まだ最低2kgは落とさなくちゃ」と思いながら顔を挙げると、ご主人が前も隠していない全裸の私を番台からジッと見ているではありませんか!
このお店にはもう何年も前から通っています。
私たちが利用する時間帯、番台には女将さんよりご主人が座っていることが多いものですから、今ではご主人に裸を見られることにもさほど抵抗はありません。
年輩でも男の方ですから意識はしますが、それでも「イヤだー、見ないで!」というよりは、「いつも見慣れたオバサンの裸なのに、何をもの珍しそうに見てるのかしら?」と不思議に感じました。
この疑問は帰りの車の中で、思いもかけぬ方向に膨らんでいきました。
スーパーの駐車場に車を停めてから、遅れて男湯に入ってきた夫にご主人は「キレイな方なんで誰だろうと思ったら、奥さんだったよ!メガネをかけてないし、スッポンポンだから分からなかった」と話しかけたというのです。
夫の顔を見て記憶が繋がったのでしょうが、キレイと言われて嬉しい反面、ご主人が「イイ女だ。もう、堪らん!」といった気持ちで私をジッと見ていたのではないかと思うと、利用するたびにイヤらしい目で裸を見られていたような気がしてきて、急に恥ずかしさと警戒感を覚えました。
もし、ご主人がイヤらしい気持ちで私の裸を見ていたのだとすれば、やはり警戒しなくてはいけません。
とはいえ、ご主人の前でもタオルで胸や下腹部を隠したりしたことのない私が、急にそんな真似をするのも何だか不自然ですし、まるでご主人を男性として意識し始めたみたいに思われるのは心外です。
もはや利用を止めるしかないとすると、気持ちが良くて心身ともに癒されるお風呂屋さんだけに、とても残念です。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠ってしまった私ですが、翌朝は気分がスッキリしていました。
というのも、目が覚めて隣で寝ている夫の顔を見ていたとき、
「キレイな方」というのはお世辞を込めた挨拶言葉で、ご主人が言いたかったのは、夫の顔を見て初めて私が誰であるかが分かったということではないか?
だとすると、ご主人は別段イヤらしい目で私の裸を見ていたのではなく、「誰だったかな?」という気持ちで見ていたにすぎないのではないか?
もしイヤらしい気持ちで見ていたのであれば、私と視線が合った瞬間、慌てて目を逸らすのではないか?
ということに気付いたからです。
そもそも「スッポンポンだから分からなかった」という言葉からして、イヤらしい気持ちがあれば夫に対して使うはずがありません。
「女なんて裸になれば、個人差はあれど胸が膨らんでいて下腹部には黒々とした茂みがあり、お尻が丸くて大きいことでは皆同じで、服でも着ていないと誰だか見分けもつかない!」というのが、無数の女体に長年、番台から接してきたご主人の偽らざる感想なのでしょう(笑)!
お盆休みの最終日も夫と一緒に銭湯を利用しました。
番台にはご主人が座っていましたが、特に私の方を見ている様子はありませんでした。
前回、全裸の私をジッと見ていたのはイヤらしい気持ちからではなく、「誰だったかな?」という気持ちからのようです。
ホッとした反面、少しガッカリしました…