まだ制服を着ていた頃。
夏も生地厚めのセーラー服は暑くて暑くて。はしたないと思いつつ、校章の縫取りのある胸当を外して下校の途についた私は、それほど混み合ってはいない電車内で不可思議な揺れかたをする人と隣り合って立っていた。
その人は、カーブによって倒れてくることはないものの、どんなに小さな揺れも大きく作用しているかのように、何度も私の胸に肘をぶつけていた。
『痴漢かあ……まあ、これくらいなら触られてるって訳じゃないし……』
などと思い、汗を拭いたハンカチをポケットに入れたときに気づいた。さっきの人が後ろにいることに。
先ほど駅を出たばかりであと20分近く停まらない。……ああ、やってしまった。
背後から両手が伸びてきて、すでに制服の上から乳を撫でている。どうするか悩んでいるうちに、セーラー服の裾は捲られていて、拇指がブラジャーに食い込むまですぐだった。
「刃物を出す。動くな」
頭の後ろで声がして、脇のあたりまで露出していたストラップが切られた。固まっている私をよそに、背中のホックは外されてブラジャーは持ち去られた。
最寄りの駅で下車した私がベンチで冷房用ベストを着ていると、声をかけられた。
「この後、レストランでご飯でもいかがですか?」