4か月前、私は風俗嬢でした。
Kさんは10か月の闘病生活だったと聞きました。
それは正人さんとの情交が激減した期間とぴったり一致します。
私は何故教えてくれなかったと言いたくなり、急に涙が出てきました。
かなりの時間悔みながら泣いたと思います。
私は勝手に「正人さんは私への興味が薄らいだ」と思い込んでいました。
(正)「哲さんからは何も?」
(紗)「何の話?」
正人さんは主人に電話を入れます。
(正)「哲さん、伝わっていないみたいですが?」
(哲)「・・・・・代わってもらえないか?」
(紗)「はい」
(哲)「昨日はすまなかった。」
(紗)「なぜ正人さんが知っているの?」
(哲)「実は正人は4日前から大阪にいたんだ」
(哲)「株の売却で俺も同席していた。」
(紗)「全然答えになっていないわよ」
(哲)「・・・・・離婚してくれないか?」
(紗)「何いってるのよ。」
(哲)「俺知ってたんだ、お前がソープで働いているの・・・」
(紗)「・・・・・・・・。」
(哲)「止めたかった。」
(哲)「でも娘へのお金を考えて歯を食いしばって頑張っていると思うと動けなかった」
本当はこんな話の流れになれば、涙があふれてくるものなのかもしれません。
しかし私は出ませんでした。
(哲)「離婚届はサインして、リビングの黒いバッグの中に入れてある」
(哲)「俺を許してくれ」
(紗)「許す、許さないの話じゃないでしょ?」
(紗)「正人さんとの契約はどうするつもりなの?」
【沈黙が続き、正人さんが電話を代わりました】
(正)「19時に自宅に来れますか?」
(哲)「行くよ」
電話を切り、正人さんは話し始めました。
(正)「元々、株は哲さんが勤める会社が軌道に乗った時売却する予定だったんだ」
(正)「10日ぐらい前に哲さんが強請られたみたいでさ」
【私は察しました。あのお客様だと】
(正)「騒ぎが大きくなると株を引き取ってもらえなくなる可能性があったので早々に手続きに入ったんだ」
(正)「それを聞いて哲さんに聞いたんだ、事実かを」
(正)「そしたら知ってたってよ、数か月前から」
(紗)「・・・・」
(正)「正直言って、俺早い段階で紗枝さんと哲さんを離婚させるつもりだったんだよ」
(紗)「えっ?(驚)」
(正)「実は哲さんに復讐したかったんです。」
(正)「俺が大学2年の時の彼女、酔った勢いで哲さん含めた3人でレイプされたんです。」
【もう驚きの連続で声も出ません。】
(正)「彼女は被害届も出さず、すぐ退学していきました。」
(正)「哲さん連中、実はレイプ魔だったんです。」
(正)「同じ研究室だった△△由希子さんって知ってるでしょ?」
(正)「彼女も被害者です。」
【さらに正人さんは続けます】
(正)「沖縄から帰った時、玄関で俺が哲さんに殴られたの覚えてます?」
(紗)「・・・うん。」
(正)「あの時決心したんですよ。絶対あなたと哲さんを別れさせると。」
(正)「でも2つ解決すべき問題があったんです。」
(正)「一つはお子さんの事です。これはある程度成長するまで時間がかかると思ってました。」
(正)「2つ目は・・・・・。」
(紗)「何?言いづらいなら言わないで。」
(正)「N美さん。」
(紗)「!!!」
(正)「俺はN美さんと相当深い仲になりました。」
(正)「正直あの身体からは離れることはできませんでした。」
私は思い出しました。N美さんから
『正人君をオトコに育てたのは私」だと。。
(正)「名古屋の夜、遂に離れる決心が付き『いよいよ紗枝さんを』と思ったとき仕事に没頭せざるを得ない状況になりました。
(正)「Kさんからの仕事が増えたんです。」
(正)「俺はKさん、N美さんからの信頼を裏切らないよう邁進するだけでした。」
(正)「そして昨日、哲さんにお返しのグーパンをしました。」
(正)「哲さんは既に紗枝さんと離婚する意思を固めていました。」
(正)「お前に紗枝を任せる・・なんてことは言われていません。」
(正)「数々苦労させて、風俗嬢までさせてしまった後悔が強かったんだと思います。」