もう20年近く前の体験談です。
今思い出しても夢のような体験です。
結婚して5年ほど経った頃でした。
妻と二人の息子とマンションで暮らしていました。
いつものように仕事を終えて、いつものように部屋のドアを開けました。
ガチャづとドアを引くと、足元に段ボール箱が5箱積まれていました。
それを避けるようにしてリビングに入ると、不自然にしおらしくしている妻の背中。
何となく嫌な予感を抱きながら「あれ、何?」と声をかけました。
『断れなかったんだもん』
振り返りながら苦笑いする妻。
益々嫌な予感が…。
「だから、何?」
『う~ん、えっと…』
「怒らないから、何なん?」
しぶしぶ妻が応えました。
『ゴム…』
「ゴム?」
『そう…』
意味がわからない。
「何のゴムなん?」
『コンちゃん…』
「は?」
『コ.ン.ド.ー.ム.ですっ!』
・・・・・・・
「はああああっっっ!!!???」
「全部なんか?」
『そう、700個ぐらい?』
・・・・・・・
「週3個使って、何年分なんだ!」
『頑張って使おっ!』
一通りのやり取りを終えて、冷静に妻と話をしました。
昼間に訪問販売の女性が二人でやってきて、グイグイ押されてつい買ってしまったとか。
当時では最新のシリコンの超薄タイプ。アレルギーの心配がなくて、着けてる感じがほとんど無いとのセールストークに押し負けてしまったようです。
いきさつは理解できましたが、あまりにも現実味のない数量は納得出来ずに返品することにしました。
二十代と三十代の二人の名刺が置いてあったので、三十代の方に電話をしました。
案の定、直ぐに返品には応じてもらえず、翌日再び来てもらって交渉することになりました。
土曜日で仕事は休みでした。午後2時に来てもらう約束でしたが、その時間が近づくと妻が意外なことを言い出しました。
『私、いなきゃダメ?』
『昨日の今日ですごく申し訳なくて、出来ればあなた一人で交渉してくれない?』
『お願いっ!』
そんな勝手なことを言い残して息子達を連れて車で1時間程の実家へと逃げてしまいました。
仕方なく私一人で待つことに。
まだ続きます。