今年も庭の片隅に、紫の紫陽花がひっそりと咲き始めている。
雨に濡れる葉音に、切なさを感じる。
花言葉に冷淡、無常、高慢、そして我慢強い愛情とある。
紫の紫陽花には忘れられない想い出がある。
今は亡き遠い昔の、忘れられない叔母との想い出。
今の自分の人格を形成するきっかけになった女性だ。
タンクトップにパンタロン姿の彼女の醸し出す匂いに、言い知れぬ心地よさを感じていた。
タンクトップの隙間から時折覗き見る乳房の艶めかしさに狼狽え色ずく心。
彼女のリズミカルな体の動きに、汗と共に撒き散らされる匂いに惑わされた。
新緑の山寺の斜面に咲き乱れる紫の紫陽花に鎮静化される心にいつも救われていた。
胸に残る想い出が紫陽花の花に呼び起こされる。
紫の花弁が走馬灯のように思い巡らされていく。
真夜中に心の傷跡が次々と思い巡らされていく。
夜の闇に、寂しさだけで抱き合う心。
手の平に伝わる叔母の吐息が、私を惑わす。
掌に触れる頬に心が体を欲情させる。
若かっただけに許された行為。
幸せの意味に戸惑う心。
二人の心は繋がれていた
最初に結ばれたきっかけは何だったっけ・・・
お互いの好奇心が、身近にいる二人を急速に近づけた。
紫陽花が咲き始めた初夏の夜、山寺の川辺に蛍が飛び交う頃だった。
浴衣姿の彼女は、一層大人の女性を意識させた。
あることをきっかけに急速に彼女の、内からほとばしる女の欲情を意識するようになった。
それは余りにも些細な出来事からだった。
紫陽花の花の香りを嗅ごうと、傾斜した土手の端に左足を掛けたときだった。
わずかに揺れた浴衣の裾野からまぶしいほどの太ももを垣間見るることができた。
真っ白に輝くその太ももは、私を奮い立たせるに十分な魅力を備えていた。
抱き合う叔母の呼吸の乱れが治まったのを見定める様に奥に進んでいった。
初めて迎い入れる罪の意識からか、躰に叔母の緊張感が伝わってきた。
お互いの息に呼応するかのように、次第に体の動きが激しくなっていった。
そして終焉はすぐに近づいてきた。
お互いから吐き出され与えられたそれは、目に見えない形のないものだった
その意味するものは当然の如く男女の至福の喜びだった。
彼女の首筋から滴り落ちる汗の飛沫にはには思いもよらぬ出来事が待ち構えていた。