美智子っていう元カノ、今でも忘れられません。
美人とか可愛いとかで言ったら、ごく普通の女の子だったけど、素直でいい子でした。
私が初めての男性で、セックスに対してとても客観的で、処女喪失は対面座位の状態で挿入する場面を覗き込んでいました。
「痛い?」
「少し・・・でも大丈夫。続けて・・・」
こんな感じで、ゆっくりと挿入、処女膜を突貫するとズルズルッと根元まで入りました。
根元まで入ったら、美智子は痛いのに微笑んで、抱きついてきました。
私と一つに結ばれて、嬉しかったって言ってました。
セックスの快感を知ってくると、美智子はセックスに夢中になっていきました。
「セックスって、愛の確認だと思ってたけど、気持ちいいんだね。もう一回しよっ!」
とにかく素直に感じたこと、思ったことを口にする子でした。
処女喪失がそうだったように、対面座位が好きな子で、お互いに腰をピコピコ突き出して、アヘ顔で感じ合いながら、結合部を眺めるセックスが好きな美智子でした。
途中で快感に負けてバッタリ倒れ、正常位になることもありましたし、最後まで対面座位で腰を揺さぶり合い、射精直前に抜いて美智子の目の前で精液を拭き上げたこともありました。
「射精って、神秘的よね。射精させるためにアソコで扱くんだものね。そうすると気持ちいいから、女の子はいっぱい扱くと、射精するんだものね。生命の神秘よね。」
私は美智子のこのセリフが、別れて10年以上過ぎた今でも忘れられません。
それまで付き合ってきた女の子は、セックスが生命の源だと考えていた子はいませんでした。
セックスは生殖行為なんだけど、人間って、愛し合う男女の愛の確認としてのセックスをしてて、生殖を目的としてのセックスって、一生のうちで数えるほどしかしないなあと思いました。
今は結婚して子供がいる私ですが、妻とのセックスは専ら夫婦の愛情を確かめ合う行為で、子作りを目的としたのはほんの数回、排卵日を狙ってすぐにヒットしました。
t魔とセックスするとき、たまに対面座位で結合部を覗き込みますが、そんな時、美智子を思い出すのです。
私は社会人1年生、美智子は大学1年生で、アパートがお隣同士でした。
私は就職で、美智子は進学で引っ越してきて、お互い知らない土地だったから、休日は何となく二人で探検みたいなことしてました。
そこから恋心が芽生え、結ばれたのです。
美智子が大学2年を終えた春休み、それは2011年3月、美智子の故郷は福島県の沿岸部、津波からは免れましたが、発電所が爆発、故里を追われました。
もう、美智子は大学どころじゃなくなって、退学してしまいました。
「残念だな。何か、困ったことがあったら、遠慮なく連絡してほしい。恋人なんだから・・・」
「うん。ありがとう。福島の母の本家にお世話になるから、大丈夫。心配しないで。突然のお別れだけど、元気でね。さよなら。」
「さよなら、美智子・・・」
美智子は、親戚を頼って福島市へ身を寄せたことまでは分かっていますが、その後、どうしたかは全く分かりません。
連絡先は今もスマホに移行してますが、10年以上音沙汰無しです。
他の元カノの連絡先は、ガラケーからスマホにした時には移行しませんでしたが、美智子の連絡先だけは移行して、そして今も消せないんです。
私も美智子も三十路、美智子だって結婚しているでしょうし、もう、福島市にはいないかもしれません。
美智子・・・思い出す美智子は20歳のまま、哀しい終わり方だったのに、笑顔でさよならを言った美智子の幸せを祈ります。